秋田流長期低温酒母

ここのところは搾りラッシュで、槽がおっつかないような感じになってきてます。
1月下旬と最も寒いときに仕込まれたお酒が出てきてるわけですね。
「佐藤卯兵衛 純米大吟醸」は、山田錦使用の県内版、酒こまちの県外版、どちらも
なかなかいい出来です。

これらは、六号酵母系統のみ(すみません、香り系酵母の『六號改』がちょっと入ってますので、
フルで普通の六号ではありません)で造ってみた、はじめての卯兵衛になりました。
しかも、設計通り、アルコール分もやや低めで搾ることができました。
昨季は、純米系は原酒で17%くらい出てしまったのですが、今年は16%、15%後半くらいで
うまく上槽できました。加水しなくても、飲みやすく、味が詰まっておいしい酒なわけです。

(って、日本酒って17~18%で搾った酒を、15%くらいに加水して販売されていること、
知っていますか? あまり知られてないのですが、事実です)

アルコール低めで搾るのは、酵母の活性が残っていることが多く、なかなか難しいのですが、
当蔵では、酒母の造り方を、大正時代のレシピにのっとって造ったら、うまくいきました。

(この『秋田流長期低温酒母』は、20日以上の酒母育成期間が特徴で、
最高温度が高くても15度以下という、酒母としてはかなり低い温度帯で育成するものです。
相当綺麗な酒母の味になります。当蔵の津川が2年がかりで習得した難易度の高い酒母です。
—-が、もろみで下手をすると、アルコールが出ない、糖分を喰いきれないという事態を招きがち
なので、がっちりアルコール出して、ごっつく発酵させたい向きの蔵にはおすすめできません。
あと、この酒母を使用したもろみは、搾り時期の確定が相当難しいです。
当蔵でもこの酒母の性格を捕まえるまでは、相当失敗しました。
ちなみに、造り方は「秋田県酒造史」とか「花岡正庸先生追想録」とか、
昔の「醸造協会誌」とか漁れば載ってます)

ほか、出品酒は、古関・津田チームの一本目、伊勢・森川チームの2本目は、あと一週間以内で
どちらも搾れます。瀬戸際で粘って品質を保ち、どちらも悪くない出来になりそうです。
産学共同開発酒「究(きわむ)」は、ラストスパート。来月頭に上槽の予定です。
そして「やまユ」系統は、今もろみの序盤。「秘醸酒」の残り二本はこれからの仕込み、というところです。

まだまだ終わりません! 気が遠くなってきました!!
ではまた。