NEXT5 共同醸造酒報告 5 六郷水採取&製麹二日目&添仕込み

いやー、昨日の話になりますが、
大変。朝6時台から、当蔵の鈴木隆杜氏にトラックを運転してもらって(私はマニュアルの
運転を忘れてしまっているので——)、
一路、「春霞」のある六郷美郷町へ。

蔵元駄文-水採取

朝早くから、栗林さんは、仕込みにてんてこまい。
忙しい最中、用意してもらった水を、無事、タンクに回収。
間近に迫る三段仕込みのため、
栗林さんの自慢の、というか秋田が誇る、「六郷の地下水」を手に入れたわけです。

栗林さん自身の登場は、最終日の17日。
超重要な留の仕込みを、原料処理の渡邉康衛くんと協力して
仕留めていただきます。

ちなみに、下の写真は「春霞」名物の「 キノコ 甑<こしき>」(勝手に名付けました)。
相当な圧力で蒸し上げ、ぱらりとした粒立ちの良い蒸米をゲットする荒技です。
これは「春霞」ならではのお家芸(?)。

以前、当蔵で、かなり圧を上げたときは、布がぶっとんだことがありました。
どこでもできる技ではないと思います。



蔵元駄文-春霞名物キノコ釜

水を積んで蔵に戻ると、麹造りは、まもなく第二日目の「棚仕事」へと突入。
麹造りのおさらいですが、
種を切って、密閉/保湿し、蒸米に麹菌を根付かせる一日目=「床」。
小さな容器に盛り分けて、強く乾燥させ、菌糸の成長を抑制しつつ、酵素をバランス良く
産生させる第二日目以降=「棚」にわけられます。

昨日にひきつづき、麹担当の「白瀑」山本友文さんがリーダーで、
私&当蔵の副杜氏兼麹師の古関くんが、サポート。
そして、「ゆきの美人」小林忠彦さんが、監修(?)役。
以下の写真は真夜中の作業前の様子ですね。

蔵元駄文-棚仕事

山本さんは、当蔵の休憩室に寝泊まりして、3時間おきに、麹を見回り。
適度なタイミングで、乾燥させるための「仲」「仕舞」などの処理を行います。
疲れはピークですが、夜を徹して、麹をチェック&コントロールしています。

「天才的な麹を造る」という噂の、山本さん。
私も、その麹テクを存分に学ばせていただきました。

出来上がったのは、噂に違わず美しく、パワフルな、「仲」「留」仕込み用の麹。
しかも、初めての麹室で、ここまでのものに仕上げるとは、驚きました。
さすが、山本さん、センスが良いだけでなく、基本がしっかりできてらっしゃる、と思いました。

この共同醸造酒の目的は、メンバーの技術交流が第一義です。
お互い、こうして、実際に技術を披露することで、
いっそう深い技術交流ができたことは、なによりのことでした。
加えて、こうした良い麹ができれば、
良い酒ができるのは決まったようなもの(?)。ほっと一息です。

蔵元駄文-夜間仕事


そして、今日。朝から、添仕込みの準備です。やっと、もろみ担当の私の出番です。
うちの杜氏に手伝ってもらって(とういうか手伝ってもらってばかりですが—-)、
タンクを洗い、受け入れ準備。まずは、酒母を汲んで、中に投入します。

蔵元駄文-添桶洗い

これが、水麹というものです。
酒母に、添用の麹、そして水を加えたものを指します。

$蔵元駄文-水麹完成

さて、受け入れ完了。
あとは、蒸米を入れれば、三段仕込みの一段目である
「添」仕込みの完成となります。

お昼すぎ、蒸し上がった米を、所定の温度まで冷やします。
「添」仕込み後の温度が、12℃であるのが理想なので、
蒸米は32℃くらいまで冷まします。

蔵元駄文-添掛放冷

添温度、12.5℃!
ちょっと高いので、室温を少々低めに設定し、「添」仕込み完成!!

蔵元駄文-水麹完了

お疲れさまでした!