「輪になろう日本酒」開催間近!

なんと! 陸奥八仙の駒井さんから頼まれていて、宣伝するの、
すっかり忘れていましたが、明後日9/23(祝日)は、東京ドームにて—-

「輪になろう日本酒」

が開催!! まだ券はあるようです。駒井君に—-といってももう間に合わないので、
当日来てください! 
秋田は、13社ということで、長野に次いで参加蔵が多いですね。
ラインナップは以下! NEXT5も全員参加いたしますので、お誘い合わせの上、来てくださいね~。



「ゆきの美人」 秋田醸造
「春霞」 合名会社栗林酒造店
「白瀑」 山本合名会社
「新政」 新政酒造 
「一白水成」 福禄寿酒造
「阿櫻」 阿櫻酒造 
「まんさくの花」 日の丸醸造
「刈穂」 秋田清酒
「福小町」 木村酒造
「天寿」 天寿酒造
「飛良泉」飛良泉本舗
「両関」 両関酒造株式会社
「秀よし」 鈴木酒造店


最近は、お世話になっております方から、オーガニックワインをいろいろと
いただきまして、堪能させていただいています。
オーガニックだからといっておいしいワインかどうかであるのは別ですが、
こちら、有名なオーガニックワイン専門店「マヴィ」さんの商品で、実に素晴らしいものばかり。


また最近嗜んでおります日本酒も、オーガニックつながりで「松の司」。
そのヴィンテージもの。
写真は2007年、つまり19BYの「AZOLLA(アゾラ=水草の意)」。
こちら、正確にはオーガニックではありませんが、こちら、栽培中化学肥料や除草剤を使用せずに
造った米を原料としたお酒です。
「松の司」はこの頃、かなり飲みまくってました。この酒もすでに過去に相当飲んでいます。
たいへん懐かしいです。よくまだ売っているものだと思います。

ちなみに19Byっていったら、私が蔵に帰ってそのままなだれ込んだ年です—-。
お年寄りばかりではありましたが、手練の蔵人たちと酒造りをした、あの忘れられない
初年度です。

この4年の歳月は「松の司」にとってはさらに酒の輝きを増すように作用しているようです。
たいてい日本酒は、その製法上(かなりの高度精白を行い、相当な低温で保管しない限りは)
およそ四季が巡る一年の中で味わいが完結し、飲まれるに適すものが大半と思いますので、
こんな4年も経っても、いわゆる典型的な熟成/古酒化せずに、
新酒の面影をやや残したまま、味わいが深まってゆくことは、滅多にありません。

正直、この酒は栓を開けたての時、老ね香がけっこうあって、老(ひ)ねていると思ったのですが、
飲みかけの端瓶でしばらくほっておいたら、開栓時に強かったあの老ねた香りが失せていて、
例のごとく、美しく枯れた酒になってました。
あの「松の司」らしい、実に見事な「盆栽」のような酒です。

あまり、こういう経験はないので驚きました。
おそらく劣化を連想させる硫化臭が、飲みかけの端瓶になっているうち、揮発したのでしょう。
これが揮発しにくい含硫化合物のような形で、がっちり酒の中に溶け込んで
しまっていればまさしく「劣化」なのでしょうが、そうはならなかった。

そういえば、時々、店で、端瓶で常温保管の「松の司」を飲んでみて、
その劣化とは縁のない枯淡の境地のごとき旨さに遭遇し、驚くことがよくあります。
甘くて重くて、もろみでダレてるような酒が、多いこの時勢に—–。

しかし、何故、こんな風にほったらかしでもよくなる酒とそうでない酒があるのか?
自分の蔵の製品を見ても、同じように造った酒でも、あきらかに香味が低下するもの、
予想に反して向上するものなどばらばらです。

日本酒の劣化についての研究はされていますが、
単一成分をいくら列挙しても、総体的な味わいそのものを説明するのは難しいと思います。
そもそも「劣化しない」=「向上する」というわけではありませんし、
その「旨さ」そのものが、もともと官能/嗜好上の問題でもあります。
きっと、熟成が味覚へ及ぼすメカニズムの解析には時間がかかるのでしょう。

うちに19Byあったかなあ? もうないなあ。貯蔵に耐えそうな酒ができたら、
ちょっとは残しておくのもいいですね。
ド派手な酒も楽しいですが、こんな風な枯れた酒こそ、あこがれですね。

$蔵元駄文-最近の酒