佳境!

この時期は、高級酒が目白押しで、もっとも忙しい時期。
あれやらこれやらの、造りの難しい酒がどんどん入って来てます。
今日は気温も猛烈に低く、夜はマイナス10度くらいになったそう—-。
本当に酒造りにはベストな期間となったわけです。

さて、私は改良信交40%精白の、純米大吟醸酒の麹造りを終えました。
酒母と添仕込みに使用するための麹です。

蔵元駄文-麹

ちなみに、改良信交は、私がもっとも愛する酒米。
改良信交の玄米が詰め込まれた枕で眠りたいくらいです。

改良信交は、確かに小粒で硬いですが、さばけよく、私にとっては扱いやすいお米です。
なんでこんな素晴らしい米が、美山錦に駆逐されてしまったのか。
確かに、美山錦とくらべて、格段に栽培は難儀ですが、それを
補ってあまりある魅力を備えた酒米だと思います。

蔵元駄文-麹造り

さて、改良信交の麹造りについて。
杜氏、副杜氏は60~70時間以上の製麹(せいきく)でしたが、
私はまずは、46時間で切り上げ。もっと長くする予定でしたが、改良信交という米は
「酒こまち」や「吟の精」ほどに長期製麹に向いていないような気がして、
夜に頻繁に麹を貪り食いながら、悩んだ末に、結局、早めの出麹(でこうじ)としました。

麹造りの時間が、やや短すぎたかなと不安でしたので、秋田県醸造試験場に麹を
持ってゆき、酵素の力価をはかってもらいましたら、
まずまず狙い通りのところに着地してました!
仲・留麹も同じように造ろうッと。


一方、副杜氏の古関君の仕込みがまずはスタートしています。
中温速醸で、さっぱりした酒母を造って、慎重に「添」仕込み。
「踊り」期間を経て、「仲」仕込みもうまく成功!

蔵元駄文-杜氏 酒母

そして三段仕込の最後の「留」仕込み!
釜の圧力を上げ、ぱりっとした蒸米をこしらえようとしたところ、
ああ残念!! 
圧が強すぎて、釜の帆がぶっとびました。逆に圧力ゼロに!
悲惨すぎる!
顔面蒼白で、ダッシュで釜に駆け上る古関副杜氏—-

蔵元駄文-こせきダッシュ

急いで対処し、無事に留仕込みも終わり、なんとか副杜氏の純米大吟醸の
仕込みも完了。こちらのお酒は市販酒として造られておりまして、
地酒卸の名門酒会さんの加盟店さまでお取り扱いになるギフト酒、
純米大吟醸「陸號」(りくごう)という市販酒になる予定です。
&袋吊り部分は、その価値があれば「オクトパスガーデン」として銘入りで発売になるでしょう。

次は、鈴木杜氏が仕込む純米大吟醸がやってきます。
明日は、添仕込—。彼の造る酒については、
昨年の秋からの高い評価を引き続いて今年も期待が膨らみます。
なお、こちらは、秋田県内で限定的に発売しておりますギフト用のお酒「崑崙」(こんろん)という
市販酒として造られるものです。
極少の袋吊り部分は、「梨花(りんか)」として発売となるかもしれません。
うまくいけば—-?

コンテストでもいい成績で取って欲しいですが、市販酒としてさらに評価高い酒を
造ってもらいたいものです。
ぜひご期待ください。