昨日、秋田県の秋の品評会の一般公開が行われました。
当社の成績は——
吟醸、純米の部とも、最終審査(三審)まで残らず、惜しくも優等賞。
昨年は、吟醸の部で「知事賞」をいただけたのですが、今年は残念。
ですが、みんな頑張りました。拍手を送りたいと思います。
昨年からの造り(20BY)は、心機一転、
平均年齢32歳という、若手だけで、製造を執り行うという、
当社史上、最大級の革命ともいえる再スタートを切った年でした。
私が、好き勝手に酒づくりの好きな知り合いを、あっちこっちから集めたのはいいけれど、
当人たちにしてみれば、いきなり見も知らぬ人と酒造りをすることになったわけで、
実際は心理的にも肉体的にも、ひどいストレスのかかる年だったと思います。
それでも、なんとかかんとかやり抜いて、優等賞をいただけたのですから、
本当に能力の高い造り手たちだな、と思います。
それから、「酒こまち」の部門で、当社の「大吟醸 六號(ろくごう)」が、
技術者賞をもらいました。メーカーの代表者が利き酒をして選んだお酒ということになります。
これです。
実はこのお酒は、一昨年である19BYの醸造。つまり、新生あらまさの酒ではなく、
最後の山内杜氏、季節雇用の蔵人さんの時代のものです。一年以上の熟成酒となります。
私が蔵に戻ったのと、ほぼ同時に始まった19BY。
長年我が社で腕を振るった、老練な蔵人たちの神業的な技術がいかんなく発揮された、
すばらしい出品酒たちが生まれた年でもありました。
19BYの大吟醸は、春の新酒鑑評会の金賞、県品評会の知事賞、東北鑑評会入賞と、
三冠をいただきました。
ここにきて、19Byの酒がまた受賞するというのは、嬉しい半面、身がひきしまる思いがします。
こちら、うちの杜氏の鈴木隆(すずきたかし)です。
今また新たにはじまった今年の造りで3年目を迎える35歳の若手杜氏で、県内でも最若手です。
その手には、酒こまち市販酒部門の、技術者賞の記念品が。
大変喜んでおりますが、それもそのはずで、この「大吟醸 六號」というお酒に使用された
六號酵母は、我々製造部が、社内で「六號改(ろくごう かい)」と呼んでいる六號酵母の一種です。
当社には、とある研究機関に保存されていた昭和5年(つまり発見当時)の六号酵母が
ございます。これを「六號原株」と呼んでおりますが、
鈴木隆杜氏が、この「六號原株」を、香気成分が強まるように選抜し直した株こそが、
この「六號改」という酵母です。
もう、5年以上も前の仕事で、彼がまだ杜氏になる前の研究成果です。
いろいろと感慨深い酒であるのでしょう。
*ちなみに、弊社では「六號」と、「ごう」の字を旧字で表記する酵母は自社培養/自社開発のもの、
そして普通に「六号」と表記する場合は、醸造協会のきょうかい酵母を暗に示しております。
「六號改」のほか、「六號原株」「廣島六號(ひろしまろくごう)」、「岩野六號(いわのろくごう)」
など3種くらいの派生株がありまして、コンセプトの明確な酒などに、ピンポイントで使用します。
一方、きょうかい酵母の「六号」も、メインとしてよく使います。特に山廃などでよく使います。
さて、春の新酒鑑評会、秋の秋田県品評会が終わりました。
最後は、東北鑑評会。当社は、どのような成績になりますでしょうか?
発表は、来月11月の中旬です!