出品酒チーム経過報告2
なかなかブログが更新できませんでしたが、出品酒チームの酒がどんどん形になっています。
まずは先鋒の「スキンヘッズ」(古関/津田)。留仕込みが完了し、現在4日目。
スキンヘッズのレシピの最大の特徴は、
力ある麹をやや少めに用いて(18%)いる点でしょうか。
「アル添しない、純米で戦う」という難題に、かなり悩んだようでしたが、
いかにキレイに溶かすかという難題を、このように解釈したようです。
チームリーダーの古関くんのスタイルは、能登流。しかも能登の中でも超クラシックな造りが身上の
「三笑楽」(リンク先の写真に、古関本人がいます—)で叩き込まれた本格能登流。
この流派は、酒のコク、あるいはゴク味を尊重し、五味調和した濃醇酒を得意とするようです。
古関くんの仕上げた麹は、ハゼ込み良好で、表面のハゼ回りも適度で、若々しくも迫力ある
麹でした。クラシカルな能登流の技術を土台に、得意の「盛前乾燥術」など、様々な
現代的な操作技術を駆使して、うまく目的の味わいを表現しうる麹を作ったようです。
添、仲、留と仕込みも順調に推移。
櫂入れによって、酵母の立ち上がりを推測するなど、富山で培った
能登流のスタイルを惜しげもなく投入し、順調にもろみを育ててます。
次鋒の「新屋チーム」には、前回のブログで紹介した県立大学大学院生の佐々木 公太くんが
サポート兼見習いとして加わり、「新屋モンハンチーム」と改名。
写真は、チームリーダーで麹屋の森川くん(向かって右)と、船頭の伊勢くん(左)です。
彼らは、秋田市新屋出身で、学校でも先輩後輩という関係なので、
グループ名が「新屋チーム」となりました。
一方、見習いに入った公太くんは、「モンスターハンター」というインターネットゲームで、
森川くんと一緒によく狩りをしているということ。
結局、三人あわせて「新屋モンハンチーム」となりました。
ちなみに、森川くんは、半端でないほど「モンスターハンター」を極めているらしく、
本人曰く「麹造りよりも自信がある」そうです(!)。
今現在(1/26の真夜中)、新屋モンハンチームは、仲留仕込み用の麹の出麹待ち。
さすがに麹師だけに、糖化力の図抜けた、非の打ち所のない麹を作ります。
チームリーダーの森川英貴くんは、私の一歳年下の34歳(だっけ?)。
新屋地区の超老舗、宝暦四年創業(つまり256年前。
新政酒造は今年で創業から159年目ですから、+100年—-)、
の「英雄酒造」の蔵元ですが、わけあって私と酒造りをしています。
鈴木杜氏の配下、この森川くん、そして古関くんはトータルの酒造りを監督できる
現時点での最高戦力の一人。古関くんが能登流であるに対して、
森川君は5年間、埼玉県は飯能市にある「天覧山」という酒蔵で酒造りを学びました。つまり南部流です。
「天覧山」は、代々、超実力派の南部杜氏を擁する銘醸蔵です。
南部杜氏といえば、きめ細かく、すっきりとした、どちらかといえば淡麗タイプのお酒が得意とされています。
彼の麹も、非常にストイックな趣の美しい麹で、雑味の発生を許さない締まった突きハゼスタイル
です。
今年の当蔵の酒質も、かなりクリアになりましたが、彼の麹造りの力量がいかんなく
発揮されているからだと思います。
一方、船頭の伊勢くんは、若干30歳ながら、当蔵の中でも最も古株の一人です。
私が蔵に帰ってきたとき(2年半前です)、いずれ製造部制にしなくてはと思いたち、
営業をやってたこの伊勢くんを無理矢理に造りにひきこんで、酒造りを覚えさせました。
思いっきり生え抜きの製造部員なので、他メンバーのような修行の経験もなく、
まだまだ勉強の身であります。
しかし、やはり生来の酒好きらしく、地道に着実に力量を上げてきている、次代のホープです。
この新屋モンハンチームは、麹に「山田錦」。そして、掛米に「美郷錦」という、秋田最強酒米、
いや、一説によると東北最強酒米が与えられています。
クリアな味わいになる美郷錦で、どれだけ端正な純米を作り出せるか楽しみです。
さて、私のチーム「チーム年男」(改名しました)
も、先日、酒母麹を作り、酒母が立ちました。
写真の、小さな酒母を櫂入れしているのは、分析屋の三野健太くん。
私と同じ寅年35歳の年男です。
彼は、私がたいへんお世話になっている、熱気あふれる、独特な酒屋さんからご紹介いただいた
人材です。北海道出身ですが、大学は秋田大学。
学校の先生になりたかったそうなのですが、なかなかなれず、
理系だったことから、醸造試験場でバイオエタノールの実験の助手の仕事などを
請け負って、なんとか食いつないでいたところ、
件の地酒屋さんで、日本酒の洗礼を受け(「松の司」にやられたということ)、
いつのまにか、ここに。
さすが分析は的確で、観察眼も鋭い。頑固なところもまた面白く、製造部のマスコット的な
存在でもあります。
我々チームは、酒こまちの精米歩合40%、のみ。山田錦は使いません。
さて、まだ細かい設計ができてませんが、頑張って造らないと!
その前に、今日の泊まりは「究」の留麹の監督です。
こちらも、成功させないと!
ではまた。