蔵見学

さて、広島滞在中は、
「富久長」さん、「賀茂金秀」さん、「華鳩」さんに御伺いできました。
どの蔵も清潔で、造り手がたいへん酒造りに熱心で、そして他にはない個性を
持っているという点は、銘醸地広島の層の分厚さを実感させるものでした。
いやー良かった。

「富久長」さんは、
蔵元である今田美穂さんの、酒造りに対する愛が蔵にあふれているようでした。
整蒸器をはじめ、
納得いくまでカスタマイズされた醸造器具たちには感動いたしました。
衛生面の配慮も並ではなく、一般的にどの蔵でも仕込みには使っているエアシューター
(蒸米を風の力でパイプの中を遠くに飛ばす)も、使わない。
米は、麹米以外も、すべて担いで仕込むなど、徹底しています。
鍛え上げられた蔵のポリシーには、脱帽しました。

蔵元今田美穂さんから、仕込み蔵の説明を受けているシーン

蔵元駄文-美穂さん



「賀茂金秀」さんの特徴は、そのずば抜けた職人気質。
こんなに酒造りに向いている蔵元は他に知りません。まったくもって、
末恐ろしい蔵元杜氏さんだと思いました。
酒質においてはまったく妥協なし。
醸造器具は、細部に到るまで考え抜かれたカスタマイズが施されていて脱帽。
また、「酒に負担をかけない」ためにはどうするか? というところに、
特に気を使っておられる点には、激しく同意しました。
ちなみに、酒は、圧力に弱いです。圧は、熱と同じくらい酒を痛めるものです。
「賀茂金秀」さんでは、いかに酒をポンプで送らないか、
送るときでも、どうやれば圧力をかけないかということに、非常に苦心されている。
だから、あのような繊細にして骨太な良酒が
醸し出されるのだなあと感心することしきりでした。

蔵元杜氏、金光秀起さんが木製甑を説明してくれています。和釜&木製甑、最高。

蔵元駄文-かもきん



「華鳩」さんは、ご存知「貴醸酒」の先駆であります。
当社も貴醸酒を昨季からはじめたものですから、
その際は、たいへんにお世話になっているお蔵さまです。
まさしく、古き良き改良家と呼ぶにふさわしい蔵で、
「貴醸酒」だけでなく、「にごり酒」についても先駆ということでした。
38歳の若手杜氏を率いて華鳩を盛り上げる精力的な榎社長、
貴醸酒の先駆であり、いまなお先進的な酒造観を持たれる会長さん、
日本全国、営業に活躍する榎木社長のお姉様。
まさに、「ほっとする酒」華鳩というイメージそのままの暖かい蔵の様子でした。


オーク樽貯蔵の貴醸酒は、さらに味わいが複雑に。しかし、内部を焼いた樽で貯蔵することで、
味わいはスッキリ。日本酒を超えた前人未到の味わい。うらやましい——

蔵元駄文-オーク樽


実にすばらしい、広島蔵見学でした。
まだまだ見たいお蔵さんがいっぱいあります。
また、来年足を運びたいと思っています。