ここ数日はいろいろと出張がありました。
さて、おとといまで、山形県の酒造講習会に呼ばれまして、
お話する機会をいただいたのでした。
内容は、当社の今の酒造りについてだったのですが、
超有名銘醸地・山形の蔵元さま&技術屋さまの前で、
駆け出しの我々が、何を話すことがあるのでしょうか—–?
当蔵、貴醸酒とか白麹とか全麹とか、いろいろやってはおりますが、
まだ、技術的には試行錯誤もいいところで、
発表するには全く内容に乏しいことばかり、と思われました。
正直、辞退したかったのですが、
酒造りから経営までいつもアドバイスいただきます
山形県工業技術センターの小関先生からのご指名でありましたので、
恥ずかしながら車で山形へ——-
そして、たいへん恐れ多いことながら、我が社の鈴木杜氏と1時間づつ、
最近我が社で行った酒造方法について、2~3の取り組みを話させて
いただきました。
・うちの『亜麻猫』という酸っぱい酒。
・社内で4チームにわけて酒造りをし、新酒鑑評会に純米で出してみた取り組み。
について、私はしゃべりました。
緊張しまして、よく覚えておりません。
山形の同志の皆様には何かちょっとでもお役に立てていれば、と願う次第です。
私たちの発表は初日でした。
二日目は友達の、岩手「鷲の尾」の工藤さんが発表されました。
で、見所は、酒類総合研究所時代の、私の指導教官であった小林健先生の講演
「製麹条件の変化が、麹の酵素バランスにもたらす影響」
いや~~。素晴らしい発表で、とてつもなく勉強になりました。
私が広島でお手伝いさせていただきました製麹のデータも入っているんですが、
懐かしくなりました。
勉強会の後は、歓待を受けることになりまして、またまた恐縮のひととき。
山形のビッグネームの皆様に、久しぶりに、またお会いできまして、
楽しい時間を過ごさせていただきました。
さて、下に添付した写真ですが、これは、山形の小関先生が、恐れ多くも
うちの杜氏にお酒を注いでおられるところです。
(残念ながらうちの杜氏はフレームに入ってませんが)
私も杜氏も、小関先生の前では緊張して、挙動がやや不審になりますが、
特にうちの杜氏は、骨の髄まで、「小関イズム」に取り憑かれております。
小関先生は酒造りにおいて「愛」が最も重要と説かれているのですが、
うちの杜氏は、このスピリットに熱烈に共感し、
当社のメインの仕込み場となる蔵に、「愛醸蔵」(あいじょうぐら)と名付けたほどです。
おそらく、うちの杜氏は、そのうち、直江兼続の兜のレプリカを被って、仕込みを始めると思います。
↓
で、↓の懇談風景ですが、左から「雅山流」蔵元の新藤様、
現在「十四代」高木酒造で製造技師をやられている安食さま、
「山形正宗」蔵元の水戸部さま。つまるところ、山形地酒の中核を担っている方々ですね。
ひさしぶりにお会いできて嬉しい限りでした。
酔っぱらって何を話したが覚えていませんが、楽しく日本酒について歓談できました。
↓
でもって、今日は、横手の山内村にて開かれている「山内杜氏講習会」でした。
酒造組合の新会長である「太平山」の小玉社長の、見事なプレゼンがありまして、
これが特に、勉強になりました。
↓
さて、秋田県の酒造業界についてのデータについてですが、
平成9年から、たかが10年くらいで、なんと46%まで出荷量が減っております。
(前年対比90%強を、10年くらい続けているとこういう数値になりますね)
売り上げのタイプ別構成を見ると、もっと寂しい気持ちに。
「吟醸酒」の出荷量は微増なので良かったのだけれど、
なんと、純米の出荷量が、むしろ、けっこう下がっているのには驚きました。
で、普通酒の比率は、10年前と、なんら変わらない(74%→73%)—–。
ようは、10年前と、ほとんど商品構成が変わらず、単に小さくなっただけ。
ほぼ、そのまんま。
我々は、今までいったい、何をやっていたのか? とばかりに、
冷酷なデータを、矢継ぎに呈示する、小玉会長の漢っぷりには感動致しました。
ここまで追いつめられると、逆にすがすがしいものすらあります。
秋田の復活をかけて、できることはなんでもしよう!
と思わずにはいられない一日でした。
ではでは。