今日は8/3~6まで続いた「竿燈」の最終日でした。
秋田市内は、年に一度の大混雑でごったがえしておりました。
私は夕刻から、市内のホテルのロビーのスペースで、
即売ブースに、はりきって立っていました。
ほとんど酒に興味がない人に、お酒を飲まして、
様子を伺うための、絶好のチャンスなのです。
ふつう、首都圏などで、蔵元が参加する試飲会などは、
お客様がすでに日本酒ファンで、もちろん皆さん地酒のことを、既によくご存知だったりします。
一方、こういうホテルのロビーでの即売会とか、デパートの地方物産の即売会とかは、
それとは違います。
日本酒をほとんど知らない人が、ふとした気の迷いで
「試飲してみようかな?」となる場所です。
こういう場所でこそ、日本酒のファンを増やすため頑張らなくてはならないのです。
ということで、業界のためにも変な酒は絶対に飲ませるわけにはいかないぞと、
当蔵の自信作や、個人的に好きな酒を持って行きました。
飲ませたら、皆さん「おいしい!」とおっしゃるのですが—–
もちろん、そこそこ売れるのですが——
うーん。
微妙。
彼らが、日本酒のトリコとなって、
みなプライベートで日本酒を買うようになるだろうか、と思うと、
そうは思わないのが正直なところです。
思えば、日本酒業界では、日本酒がもっと理解される存在になるため、
えんえんと考え続け、話し合ってきました。
酒が売れないのは、いい酒を飲んだことがないからで、
うまい酒の飲酒機会をもっと増やせば、日本酒も売れるようになる。
あるいは、純米酒がもっと増えれば売れるようになる。
アルコール度をもっと低くしないと—-
山廃や生モトで、食中酒で—–
こーすればいい、あーすればいいと、
いろんな考えがあります。
ただ、日本酒にあまりなじみのないお客さんに、即売会で、
頑張ってお酒を売っていて感じるのは、
「そんな単純なことはでない」ということです。
酒そのものがどんなに複雑化して、旨くなっても、
お客さんが日本酒に抱く感覚は、本質的にさほど変わらないと思います。
もちろん日本酒が旨くなってゆくのは、素晴らしいことで、
まずは必要不可欠なことであるのですが、
それだけでは、「日本酒はアリ」というムードには、まったく、ならないでしょう。
ではいったいどうすればいいんだろうか、
と、休憩に外に出たおりに、竿燈を見ながらぼんやり考え込んでしまった一日でした。