秋田県清酒品評会
Autumn collection も無事に終わり——
市販酒のお披露目が終わると、
秋の、秋田県清酒品評会が開催された!
我らがバトル出品酒純米大吟醸シリーズ、
出品順に左から
古関副杜氏の「オクトパスガーデン」、
森川の「ネフェルティティ」、
私の「見えざるピンクのユニコーン」、
鈴木杜氏の「梨花」。
フルラインナップで、純米酒のくせに「吟醸の部」に出品!
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イエス、見事に、玉砕!!!!
純米を全開で主張してまして、スコーンと落選。
そして、栄えある「吟醸の部」の知事賞、しかも首席は——–
能代の「喜久水」さんでした!
ご存知と思いますが、この蔵は由利正宗、高清水と並ぶ「金穫りマスター」でございます。
春の鑑評会は5年連続金賞。
しかも、春の鑑評会用事前審査会やら、今年のこの秋の品評会でもそうですが、
至る所で、しょっちゅう首席やらトップ成績に輝くことしきりの、とんでもない高い技術を
持ったお蔵さんなんですね。
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ちなみに、この「喜久水」さんでも、蔵元が造りをやってます。
下記の写真にうつっているのは、次期当主の平澤喜一郎くん、三十五歳。
私と同い年ですね。
喜一郎くんは、一蔵人として「喜久水」を醸しています。
名杜氏・高階さんのもとで麹屋を担当して、もう五年。
彼が麹屋になってから、春の鑑評会はとりこぼしなく金をとっているのですから、
相当な腕前です。
ということで、喜一郎くんは、私の麹造りの先生のひとりでもあるんですね。
私が、はじめて若手で造ろうとした20Byは、喜一郎くんに麹の造り方について、
基本から高度なことまで、いっぱい教わりました。
いやー、今年もやってくれましたね。すごいです。
以下、授与式の写真です、おめでとう!
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純米の首席は、高清水の本社工場の杜氏さんである、
皆川杜氏。数々の輝かしいタイトルを持つ、秋田でも五本の指に必ず入る
大杜氏さんです。
素晴らしい風格のある、純米酒でした。おめでとうございます!
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純米の部では、なんとかうちの蔵も最終選考である二審まで残りましたので、
「優等賞」になりました。上位三社がもらえる「知事賞」には届きませんでしたが、
プラス10位までもらえる優等賞にはなんとか入りました。
しかも、評価されたのは、我らが杜氏、鈴木隆(36)の雄町使用の純大「梨花(りんか)」!
まだまだ堅くて、もっと飲み時は後のような気がするくらいです。
きっと飲食店さま大喜び(?)のタフな酒で、香りも甘みもかなり控えめ!
酸も高くて、(なんと1.7くらいあるので)食中酒としてこそナイス。
知事賞は逃しましたが、飲むにはいい酒ですね。
ぜんぜんダレてないし、売り物として、強くて最高。
蔵元としてはありがたい一品です。
最終的な結果ですが、
「NEXT5」組では、福禄寿(一白水成)が「吟醸の部」の優等賞。
ゆきの美人と、当蔵は、仲良く「純米の部」の優等賞になりました。
こういう賞は、春の鑑評会と同じように、「狙い所」「傾向」というものが
存在しますので、そういうところを狙って造るべきなのですが、うまく狙った
ところに着地するには、相当な技量と、割り切った設計、そしてできればキャリアも必要です。
例えば、秋田県清酒品評会では、「華やかで甘い」という特徴を評価するようにと、
モロに審査要項にあるので、これは無視できません。
(これらの特徴は一般的にも「秋田の酒」というイメージと合致するものでもありますし。)
ただ、こういった定型的なポイントを外すと、受賞が遠のきがちにならざるをえないことは、
否めないのです。
で、面白いのが、来月に結果が発表される「東北清酒鑑評会」です。
こちらは、良い酒には「優等賞」という評価が与えられ、けっこうな確率で
その「優等賞」がもらえるのですが、
秋田の品評会とは評価基準が違うため、時々、秋田県の品評会でなかなかGOODな
成績をとった酒が、
この簡単なはずの東北の賞を、逃してしまうことがあるんですね。
内部事情を知っているものには、このギャップが面白い(?)というか、
毎年話題にのぼることなので、
東北鑑評会のあとで、分析してみることにしましょう。
良い酒ってなんだろうか? という疑問が沸いてくること間違いありません。
ということで、今日は、
autumn collectionの時にお客様から差し入れいただいた
「田酒」の純米大吟醸(180ml!!)を、ちびちびと飲んで、疲れをいやして
います。飲みやすくて、コクがあって、良い純大のお手本のような酒です。
ではでは、また。