我が蔵、我が県の状況について

当蔵の現状を。
重油が届きません。話と違う—–今日も届かなかった——。
取引先は、当蔵の今月の使用分は確保してあるというのだが、実際、届かないのです。
プラス、明日も輸送できるかは、わからないという。

もはや備蓄は尽きそうで、しかし、これは予想していたことではあります。
仕込みは、すでに昨日の「留仕込」をもって、重油の確保ができるまで一旦終了!
こんな最悪な景況では、今年、これ以上造る必要がないのでは、と思ったりもするのですが、
それはそれで他の問題が生じるので、おいそれと判断はできません。

ともあれ、備蓄分の重油は、今まさに搾れてくる酒の「瓶詰」と「火入れ」に
回さなくてはならないです。
正しいタイミングで火入れできなかったら、すべての苦労が台無しになってしまいますし。

さて、東北電力も輪番の「計画停電」を行うらしいのです。
ただし、明日の秋田県の停電は、あるとかないとか、いろいろと噂が飛び交ってます。
会社には「ない」という情報が伝えられたけれども、
公式には、「停電予定時刻の一時間前に決定される」ということになっているようです。

停電はやむなし。でもこういう、「無計画停電」では困ります—–。
例えばいきなり、「やっぱり停電です」とかになったらどうしよう??
上槽中に停電になれば、ポンプが使用不可なので、
搾れてくる酒は、みんなで担いで、はしごを上り、タンクに流しこまなくてはならない—
これには、とうてい人手が足りない。けれど、そうなったら、やらなくてはならない。

$蔵元駄文-県庁

さて、秋田の県庁で、岩手被災地に送る衣類の収集を始めたというので、
さっそく私も不要な衣服を届けに行ってきました。
しかし、周知が不徹底で、ほとんどの人が知らない。
県庁HPを見ても、情報の書き方がまずく、まるで今日一日しか受け付けないようにも見えますね。

実際は、明日以降もずっと受け付けております。
<ちゃんと着られる服>で、<洗濯しているものだけ>の受付ですので、みなさん、
競って不要な服を県庁に届けてください!! 今日以降、毎日、午後6時まで集めています。

(ただ、私見では、サラリーマンが帰社する時間でも届けられるよう、
午後9~10時くらいまで受付をすべきだと思うんですよね、できないかなあ)

県庁絡みということで考えを述べさせていただきますと、
そもそも秋田は、被害が軽微なのだから、率先して周辺県からの
避難民の受け入れを表明すべきではないか、と思います。効果はさておき、出来ることは、なんでもやるべきです。

いつまでも被害県の立場に甘えている場合ではないでしょう。
比較論、相対的に言えば、
秋田の被害なんて、ゼロみたいなもんです。
新潟県をはじめ、救援物資をたらふく送った上で、さらに踏ん張っている県が
あるのを見習わないとならないです。

トラブルに見舞われると、リーダーシップがあるかどうかが如実にあらわれますが、
その点、どこを見ても不満を感じざるを得ない状況ばかりですね。
テレビでは、毎日「パニックに陥らないで」と連呼していますが、
福島原発に関しては、なんとなく「打つ手はなし」という状況にしか見えないのですから、安心しろといわれても、難しいですね。

パニックを回避したいのはわかるけれども、リスクを過小評価すれば逆にパニックは起こります。
原発に関しては、この4日間、政府はリスクの過小評価をつづけ、
苦しい言い訳をしているようにしか見えないです。 

今は、「上から水をかける」とか、
なんだか大戦末期に「根性で竹槍で飛行機を落とせ!!」とか言ってた
状況に近いような気がします。
やらないよりはまし、のようなムードでしょうか。
そもそも、原発の情報については、眉唾なところが多すぎます。

二日前の14日午後、仙台で救援活動していた米兵が、被爆していることが、
米国の放射線検査でわかったというニュースがありました。
米兵が浴びたのは、自然界で一ヶ月に浴びる程度の量だったみたいですが、
短時間の作業での被爆と考えると、面白くない状況です。
このため、空母ロナルドレーガンは、原発の南160kmから、
位置を変えざるを得なかったわけです。

これについて、政府は、きちんとコメントを行ったんでしたっけ? 
私が知る限り、事実上、無視だったのでは?
こういった事がいくつも重なったため、現政権の対応は、国際社会から総スカンをくらっているらしいんですね。

私は現職に就く前は、もっぱら、お役所や、ある種の企業を相手にした、
もっぱら消費者問題に関わる記事を書いて生計を立ててました。
うーん、追い詰められて、都合の良いデータしか公表しなくなる、あるいは、自らに都合が良いようにデータの解釈を行う例はたくさん見ましたね。

(皆さんも御存知でしょうが、農水省のあらゆる政策の前提となる「食料自給率」など端的な例です。
カロリーベースなどという指標は日本オリジナルで、
これによると自給率40%ですが、かつてメインに使われていた生産額ベースの指標や、
農業のGDP規模では日本は、世界でも5~6位の農業大国になってしまうということ。
事実はどうあれ、農水省は自分に都合の良いことしか公表していないことは確か—-。農政は、我々酒屋にも、深く関係あることで、悩みの種なんです)

だいたい、この原発の一件、昔からよくある公害事件の流れにそっくりですよ。

私としても、別にパニックを引き起こしたくて書くわけではないし、
放射線の濃度が実際のところは、どの程度なのかはわかりませんが、
福島県をはじめとした被災者の方で、疎開できる方は、したほうがいいのではと思います。

繰り返しになってしまいますが、
秋田県ほか、多少なりとも余力ある県は、必要な限り避難民を受け入るべきでは? 

特に、宮城、岩手は窮乏しています。一方、秋田はそんな遠くない。人を車で運ぶくらい可能でしょう。秋田だって、混乱はしてますが、農作物はあるし、状況はまだマシなような気がします。

そもそも、援助物質を届けるより、モノがあるところに、人を移動させたほうが、
ずっと効率が良いので。

そう、思うのですが—–