風邪と燗酒

新酒もどんどん出てきまして、22Byの日本酒の姿が徐々に、あらわれはじめましたが、
案外悪くないような、どこか物足りないような、そんなアンビバレントな気持ちで
じゅるじゅると利き酒をしている最近の私です。

最近は、またいつものように「三芳菊」「九平次」「相模灘」さんなど好きなお酒を購入し、味見。
さすが手練の蔵だなあと感心いたしました。

$蔵元駄文-今月のサケ

驚いたのは、住まいの近くに、熟成系のお酒のみ扱う、居酒屋ができたことです。
「神亀」「隆(丹沢山)」「綿屋」などの渋い酒が揃い、秋田の酒では「春霞」がありました。
まだ風邪気味状態だったので、正直あまり酒が進まない状況だったのですが、
「神亀」の「ひこ孫」の熱燗は、やたら旨かった—–


$蔵元駄文-小野屋


ふと思ったのは、このように体調が悪い時、燗酒がおいしく感じるというのは、
つまるところ、燗酒は体に優しく、飲みやすいということなのだなあと思います。

体力が落ちたり、酒が弱くなっている時にでも、燗酒なら飲めるということは、
「年をとると燗酒の良さがわかる」ということと、通じるような気がしますね。

私としては、やっぱり今のところは、冷酒(常温)のほうが主体です。
特に、利き酒したくて買うのは、ほぼ100%常温。
ぬる燗は、外で飲むときに、時折たしなむくらいです。

こんな自分でも将来、燗酒ばかり飲むようになるのでしょうか。不思議なものです。

ただ、燗酒は無理に飲まされると、あれほど嫌なものはないですね。
(昔、よく飲まされましたよ—-)
たいがい、日本酒は、暖めると、甘臭に、アルコールや酢酸エチルなどの
エステルの鋭い立ち香が入り交じって、やや酒臭い香りになるのは否めないですし。
私は酒初心者に、いきなり、ごっつい燗酒をすすめるのは反対です。

先日、灘伏見の大手が連合を組んで、「燗酒をPRする会」みたいなキャンペーンを
行うようなことを言ってましたけれど—–、
う~ん、ちょっと待った、そんなPRして、いまさら何になるの?
少なからぬ若いアルコールビギナーが、
ある種タイプの酒(おそらく製造側としては『お燗向き』と宣伝してるタイプの酒)を飲んで、
アンチ日本酒党になっていった現状を、理解していない?
日本酒の需要増と新たなファンの獲得のためには、
そういった旧タイプの酒(特にコスト至上主義で作られた酒)の熱燗より先に、
薦めるべき酒はいくらでもあるのでは?
などと、思った人がいませんか。
ちなみに、えー私は、そのような滅相もないことは思わなくもないようなあるような。

個人的には、燗酒のPRなら、尊敬申し上げる
「神亀」さんとか、「天遊琳」さんとか、「鯉川」さんとかが連合を組んでやってくれるなら、
すごいいいんだけれども。

ああ、明日は一便で出張なのでここらへんで—-。
おやすみなさい。