先日、宮城県大崎の有名銘柄「伯楽星」「愛宕の松」の新澤醸造さんに行ってまいりました。
なにしに行ったのかって?
何を隠そう、新澤さんのところでは、現在(というかもう終わったけど)、
日本酒史上に残る取り組みを行っているのです。
日本で一番精米歩合が低い(つまり、よく削った、高精白の)酒を醸造しているのです。
なんと精米歩合7%。
しかも、全国から30蔵くらいの友情蔵が集って、その仕込みから搾りまで、
みんなでお手伝いするという大ビッグプロジェクト。
光栄にもお声掛けいただきましたので、
私&「一白水成」の渡邉康衛くんで、いざ、宮城へと車を走らせました。
すでに酒は搾っており、私と康衛君は、粕剝ぎ&瓶詰めを手伝いました。
7%の酒って—–。味が想像すら、できない!
発売本数も極限に少ない(というか一般発売しない)らしいです。
「限定、限定っていうけど、この酒は限定過ぎて、店が客に売りたくない、
そういうレベルの酒にしたいんです」
ということを新澤さんは、おっしゃっておりました。
嬉しい事に、協力者はあとでこの酒、もらえるんですよ。
この酒—-30蔵くらい協力してるし、歴史的な価値も高いし、
値段がつかないでしょう。いやあ、ラッキーです!
↑
終始、我々、楽しくお手伝いをさせていただきましたが、
実は新澤さんとこは、(言わずもがななのですが)大変な窮地にあるのです。
蔵は、地震で傾いて「全壊認定」。
もはや、ここで酒を造り続ける事はできません。
しかしながら、新澤さんは、執念で、次なる新天地である新たな仕込み蔵を、
(75キロと相当離れたところですが)なんとか見つけ出したとのこと。
ただし、そこで実際に製造を始めるには、けっこう手間と時間がかかるということです。
このため、実際に移るまでの間は、休まずに仕込みを続け、
ちょっとでも在庫を多く確保しようとしておられるとのこと。
すくなくても貯蔵熟成している「ひやおろし」まで、
切れないよう在庫を持たせたい!という一心で、造っては出荷というサイクルを
続けているとのことですが、いやあ、造り手からすると、本当に頭が下がります。
こんな夏の盛に、麹を造り、冷蔵庫の中で、酒母やもろみを管理しているのですから、
本当に大変なことです。
実際に、現場では、新澤さんはじめ社員の方みなさん全員から、復興にかける
なみなみならぬ思いを感じました。
新澤さんは、「こんなときだからこそ、歴史的な取り組みをしたい」と
言っておられました。
頼もしい言葉です。すでに「伯楽星」は、なんなく復興を成し遂げている、
またそれだけでなく、すでに新たなステージへと昇ったのだなあという気持ちになりました。
がんばれ「伯楽星」! また手伝いにいきます!