NEXT5 共同醸造酒 ECHOの
仕込みが、昨日、無事に終了いたしました。
いままでのおさらいですが、
10日以上かけて、私が酒母というものを造りました。
これは小さなタンクの中で、元気な酵母を大量に育成する仕事です。
今回は、自分の蔵でやっているように、乳酸菌を使って酸を生み出し、
抗菌効果をもたせてから酵母を育成するという、山廃という手法に属するやりかたで
酒母を立てました。
なお、乳酸菌が思ったように増えず、
完成度としては、はっきりいって完璧とは言いがたいものでしたが、
無事、後の工程でリカバーしました!
メンバーのみなさんには、はらはらさせてすみませんでした—-。
で、この酒母を、「三段仕込」で増量してゆきますが、
それは
1、添(そえ)仕込
2、仲(なか)仕込
3、留(とめ)仕込
といいます。
各段、それぞれ水と麹と蒸米を入れる事で、前段の物量を倍増してゆくのですね。
「白瀑」山本友文さんが、春霞の麹室で、麹を造りました。
水は「一白水成」渡邉康衛くんが、自蔵の地下水を持ってきてくれました。
蒸米は、「ゆきの美人」小林忠彦氏が、春霞の蔵で、米洗いから行い、仕上げました。
添、仲と無事に進み、昨日は、三段仕込のラストである「留仕込み」が
行われたのでした。
こちらのタンク(温度調節機能がついているサーマルタンクというもの)
に、仕込みが行われます。仲までの物量が入っているのですが、
当日の朝、留仕込みに使われる、水と麹を先に入れ、「水麹」というものを造ります。
ここまで準備が整ったら、米を蒸し上げて、それを冷まして、投入すれば完成です。
↓
ここが洗米/釜場の全景です。
蒸し上げられた米は、写真向かって左側に長く伸びている「放冷機」と呼ばれるものを通り、
冷やされます。
↓
蒸し立ての米はたいへん熱いものです。留仕込の温度は、5~6度という低温で
スタートさせる必要があるので、そのくらい米を冷やさなくてはなりません。
ということで、釜から掘り出したばかりの、蒸し立ての米を放冷機に入れます。
↓
蒸米が、放冷機の中のベルトコンベアーをゆっくりと進んでゆきます。
その際、放冷機に組み込まれている送風機が、蒸米の熱を蔵の外へ吹き飛ばしてくれます。
かわりに、蔵の中の冷たい空気が、蒸米の層を通って、米が冷やされます。
こうして、比較的に短時間で、室温くらいに冷えた米が出てきます。
で、放冷気の出口で、出てくる冷えた米をとります。
↓
で、それをすみやかに、タンクに投入するため、走る走る!!
↓
タンクの上で待ち構えていた人がそれを受けとり、投入!
↓
そしてすみやかに、櫂棒(かいぼう)という長い棒で、投入された米を均等にかき混ぜる!!
↓
こうして、タンクに適量の、所定の蒸米を投入したら完成!
仕込み温度は5.5度。予定どおり、5度前半での仕込みに無事に成功致しました。
そしてこれからは、ホスト蔵「春霞」での、30日にわたるもろみの発酵が開始されます。
約一ヶ月かけて、もろみの中では、
投入された蒸米が、麹に含まれる酵素によって溶かされ、
澱粉が糖分に変化し、この糖分が、酒母で育成された大量の酵母によって、
アルコールにと変換されてゆきます。
低温でゆっくりと、糖化と発酵のバランスをとりながら、
温度調整をしたりかき混ぜたり、味を確かめながら、
毎日毎日、もろみの成長を見守るのです。
あと一ヶ月で、ECHOは完成の運びとなります。
お楽しみに!