さて、長く続いた古式生酛についてですが、今回が最終回となります。
さて前回までは・・・?
確か、乳酸菌が立ち上がったあたりまで書きましたね。
しかしその直後、「どうも酵母まで全滅している」という、
我々にとっては、意図しない出来事が起こり、窮地に立たされてしまったのでした。
そう。私としては、酒母内に、ちょっとでも強健な酵母が生き残ってくれることを前提に、
酒母造りを進めていたのですね。
しかし、今回は、このように予想が裏切られ、なんと乳酸菌(しかも単一種。ラクトバチルス・サケイであろうと思います)以外のあらゆる菌が死滅してしまいました。
これから、この乳酸菌しかいない液体を、どうやって立ち上げたらいいのか・・・
つまりこれから強健な酵母を、いかに「自然に」生やせば良いのか、途方に暮れてしまいました。
確かに・・・。
もともと、生酛系酒母において、乳酸菌以外の菌が、途中でうまく淘汰されることは、教科書で示されている事実であります。
醸造家には周知の図表『生酛系酒母における微生物の増減カーブ表』では、
(主に麹から持ち込まれた)酵母やら雑菌やらは、硝酸還元菌が「亜硝酸」を生成しだすと、そのショックで増殖が止まってしまいます。
すると、「亜硝酸」なんてへいちゃらという体質の乳酸菌群が急激に増殖しはじめ、
主に乳酸などの酸がいっぱい放出されて、酸度は上昇してきます。(乳酸菌は乳酸だけでなく、酢酸とかも出します)
すると、乳酸菌が生み出す酸と、亜硝酸、さらには糖分による浸透圧の「トリプルパンチ」で、
多種多様に含まれている細菌たちは、弱い順から、どんどん滅亡してゆきます。
そして、最終的には乳酸菌以外いなくなるのですね。
このころは亜硝酸反応もなくなっており、これが、一般的な生酛における培養酵母使用のポイントです。
亜硝酸反応さえなくなれば、酵母はオーケーなんですね。かなり高い酸度や糖度でも耐えられます。イキの良い培養酵母が投入されれば、この酒母は出来たも同然。
乳酸菌(ラクトバチルス・サケイ)は、アルコール5%くらいで死んでしまいますから、
酒母が完成した時には(アルコール12~13%)、とっくに存在していません。
まさしく酵母だけが生きているということになります。
酵母純度100%。
しかも酵母は、かなり酸が高く糖分が高い環境で育ったため、細胞膜も超強靭!!
もろみでも滅多に死なない!! これをもとに仕込みが行われると、さぞかし強い酵母たちが発酵を行ってくれるので、すばらしい酒になるのは間違いなしです!!
しかし。
個人的にはどうにも、こりゃ~~、ちょっと話が出来すぎていませんかね? と思ってました。
これは一種の「実験室」的モデルケースにすぎず、現場で、常に起こりえるような事実ではないのでは? と思っていました。
実際、自分でも経験はありますし、様々なお蔵さまと情報交換して知見を得ることもあります。
よく聞くのは、生酛系酒母を造ってると、添加した培養酵母では、ありえない酒になったりすることが、ざらにあるということ。
例えば「香り系酵母」(大吟醸とかに使われる濃いリンゴ様香がする酵母)を添加した山廃だけど、実際はぜんぜん派手な香りが出ない、とか。
これはなぜか?
通常の酒で使用している清酒酵母が、麹由来で酒母に忍び込んでいて、
培養した酵母を添加する頃には、かなり増えて、優勢になっていた・・・からに違いありません。
また、多くの生酛・山廃で、野生酵母や産膜酵母、あるいは乳酸菌なのか、
ヨーグルト、酸臭、糠様などのオフフレーバーが、感じられることが、よくあります。
これは、酒母で、性質の悪い雑菌の類いが淘汰されていない証であります。
一方で、理論的に完全な生酛では、そんなことはありえません。
教科書の生酛理論が指し示していることは、「完璧に決まった生酛」は、いっさいの雑菌が滅した状況において、純粋培養された「きょうかい酵母」が加わるということです。
これは、「速醸」や「高温糖化」といった、明治大正以降に開発された
近代的な酒母を凌駕する、真に衛生的な酒ができることを示しています。
しかし、そんなことがありえるのでしょうか・・・。
市販されている生酛・山廃の多くには、未完成な代物が少なくないとでも言うのでしょうか。
麹の中、1gあたり、数千、数万もくっついている多様な雑菌群が、酒母の中で、いつの間にか、完璧にゼロになるなどということが、ありえるのでしょうか。
そもそも、酵母が全滅したら、培養酵母の技術がない江戸時代はどうやって醸していたでしょうか? 空気から入ってくる? 相当に酵母が含まれた空気が大量に吹き込まれないと難しいはずだ。
ワインだって、そうです。
例えば、圧搾前のぶどうを、亜硫酸を使用して殺菌してしまえば、
もちろん酵母も全滅しますから、培養酵母を使用しないわけにはいきません。
実際は、ワインも日本酒同様に、特別に選抜された酵母を培養して加えて造られるのが通常なのです。
(というか世界を席巻するワイン市場は、日本酒市場とは桁外れにでかいです。
世界中で醸造され、日夜、研究が行われています。動く金からしてレベルが違うわけですね。
ワイン酵母などを買う場合は、分厚いリストから選ぶことになります。
その多様さは、日本酒の酵母どころの騒ぎではないようです)
というわけで・・・ワイン醸造においても、ブドウを収穫したら、即、仕込みに
うつることができる環境でないと、培養酵母の使用は必須と言えます。
ブドウにそもそも付いていた野外の自然酵母を使用して醸造することが可能なのは、
まさにフランスのブルゴーニュ地区に典型的な、農業主体の小規模ドメーヌなどに
限られてきます。
日本酒でも、原料の殺菌が行き過ぎれば、面倒なことが起こります。
完全に酒母で酵母が滅菌されたら、その原料液を、「速やかに」「完全に」占有するに十分な、
初発数の酵母をどうやって用意するのか?
というか……そもそも、江戸時代はどうやってたのか?
私が予想していたのは、生酛系酒母においては、多くの場合、酵母は完全淘汰されない。
ある程度生き残っているから、培養酵母は無添加でも、きっと比較的速やかに、
発酵にうつることができるだろう、という流れでした。そういうことで、江戸時代でも、
培養酵母なしでも別にフツーに発酵できたはずです。
それを再現すればいいだけの話でした。
しかしそうはなりませんでした。
教科書の記述の通り、完全な生酛は、酵母を含むあらゆる菌を、一時的に完全に滅菌する、類いまれなシステムを備えているということがわかりました。
正直申しますと、今回の酒母仕込みにつきましては、以前、山廃を造っていた時とは違ったことが起こってはいました。「亜硝酸反応」が思ったより出たのですね。
当蔵で、定石通りの山廃酒母をやるときには、あまり「亜硝酸反応」が出ないのです。
しかし、今回は、フツーに出てしまいました。
いわゆる亜硝酸は、マックスで8~10ppmくらいという数値が教科書的な値です。
しかし、当蔵で普通に山廃をやった場合は、2~3pmしか出ていませんでした。
「このレベルでは、あまり雑菌淘汰のための殺菌効果は、期待できない」と言われたものです。
(ラベル記載義務のない副原料であるミネラル剤「硝酸カリウム」を酒母仕込みの際に添加すれば、亜硝酸レベルは、もっと上がります。
当蔵も、数年前までは用いていましたが、2013年から副原料の使用を自主規制したため、我々は
十分な亜硝酸レベルを得ることが不可能になりました。試行錯誤の末、「酒母工程の途中で、酒母を、酒造道具の煮沸用の釜の湯に漬けて熱殺菌する」という独自な山廃スタイルへと進化していったのであります)
今回、通常の山廃とは違う仕込み配合ということで、
いちおう秋田県醸造試験場に、亜硝酸反応のほどを、調べてもらったところ……。
↑ 仕込水の知識と、衛生管理について常にお世話になっている、試験場の大野先生が
直々に当蔵でチェックしてくれました。
↑
これは紙で測定するタイプ。反応が強いとピンクが強くなります。
おおまかに調べるとき使います。
↑
これは、薄めて使うもので、細かい数値を知るために使います。これも色で判別。
結果として、今回の当蔵の生酛は、マックスの値で「8ppm」という、まさに教科書的な値をたたき出しました。
以前はそんなに出なかったのに・・・と驚きましたが、いくつかの理由が複合してこうなったようです。
まずは、単純に仕込みに加えている水が極端に少ないので、液が濃くなってしまいオーダーが上がったのでしょう。
ほか、いつもより強い硝酸還元菌がいたかもしれません。
また、掛米が65%と案外磨いていないのもあるでしょう。
さらに、今回は酵母無添加ということで、あらゆるレベルで衛生度を高める取り組みをしましたので、亜硝酸を還元してしまうような雑菌(グラム陽性菌)そのものが、そもそも少なかったのかもしれません。
結果としてじゅうぶんな亜硝酸が出て、順調に乳酸菌も立ち上がりました。
そして、それからも毎日、細心の注意を払いながら、酒母を育成いたしました。
そして、酸度もかなり上がって、亜硝酸反応も消えたころ………。
↑
ちなみに、これは亜硝酸反応が完全に消失したことを示す状況です。色がついてない。
真っ白ですね。(教科書的には、雑菌がいなくなって、培養酵母を添加する時期です)
だが、今回は、「酵母無添加」。
初めに考えていたのは、単に、酒母を暖めるだけ。
酒母の中で、きっと、生き残ってくれている酵母ちゃん(たぶん、強い酵母で発酵力がある)が増えてくれるはず。私は暖機(酒母を暖めるための湯が入った筒)を入れようとして、じーっと酒母の表面を見ました。
つるーんとした真っ白の、きれいな表面です。泡ひとつありませんね。
酵母の増殖は、現在のところまで完璧に抑えられている証拠です。完璧な流れです。
しかし、この中には、麹にくっついて入ってきたすばらしい酵母(たぶん蔵中に蔓延している6号酵母)が、生きるか死ぬかという厳しい環境で、こらえているはず。
これを立ち上げる。
しかし・・ふと、勘ですが、なんとなく、酒母がおとなしすぎるような気がしました。単に、勘です。暖める前に、どのくらい酵母が生き残っているか知りたくなりました。
酵母数がわかれば、だいたいその後の経過もわかろうというものです。やっておくべきだろう。
顕微鏡でのぞけば、すぐわかるのですが、ちょうど秋田県試験場さんにも、今までの経過を説明して、参考にしてもらおうと思い、連絡をとりました。
試験場で酵母数をカウントしてくれるというので、酒母をチューブに入れて車に乗り込みました。
こうして、秋田県試験場で、酒母の内容物をチェックしてもらった結果は・・・
そうです。
酵母は一匹もいない、乳酸菌以外の生物が存在しないというものでした。
↑
これは、もろみを乳酸菌が生えるプレートに塗りたくって、何が生えるか見ている検査です。
これは酒母の原液を塗りたくったシャーレ。乳酸菌は多すぎてコロニーが極少のため、見えません。
たくさん、白くぼやっと生えているのは、麹菌です。
あ。そう。乳酸菌以外に唯一、麹菌は生きているんでした。
亜硝酸にも酸にも糖にも負けず。かなり高等生物だから
でしょうか、麹菌は、アルコールが生産されるまでは、もろみの中でも、ずっと死なないで生き続けるんですね。酵素も生産しているのでしょうか……?
とはいえ、アルコールがちょっとでも出ると、弱まってすぐに死んでしまいます。
↑
これは1000倍に薄めました。
まだ、乳酸菌は多いのでコロニーが小さくて良く見えない。
麹菌がまだいますね。
↑
これは10万倍に薄めました。やっと、コロニーが見えますね。10万倍に希釈してもこれほど。かなりの菌密度になります。
↑
並べるとこういう感じ。右に行くほど、希釈されています。しかしどれほど希釈しても、コロニーは、すべて乳酸菌のコロニー。酵母のコロニーがあらわれません。
そう。どれだけ拡大培養しても、乳酸菌以外の生き物が見当たらないというのです。
そして、どのコロニーの菌を顕微鏡でみても、細長い桿菌のみ。そう、生きている乳酸菌は、すべて、間違いなくラクトバチルス・サケイです。
私は、衝撃を受けました。
こんなに古い蔵の中で、蔵人がよってたかって、ごちゃごちゃと素手で米をさわって麹を作り、
同じく蒸米をかきまわし、殺菌してない水を加え、木の入れ物に入れて、木の櫂棒で米をすりつぶし、それ以降も、ステンレスの筒を突っ込んだりなんだりと、いろいろと操作をいたしました。
いろいろな微生物がこの液体に入ってきて、もろに感染しまくったはずなのに・・・
現在、この液体の中に生きている生物は、なんと乳酸菌だけというわけです。
さらに乳酸菌だって、球体、杖型、連鎖型、さまざまあります。
しかし、この酒母には、単一のサケイしかいないとのこと。
どうしてそうなるのか。理屈はわかりますが、実際に目の当たりにすると、現実味がありません。
この現象は、無菌のクリーンブースの中ではなく、築160年の蔵の中で起こったことです。
現象自体が、理解を超えているだけなく、
こんな恐るべき手法が、江戸時代に完成している点も、想像を絶します。
試験場さんには、「今、培養酵母を添加したら、お手本のようないい酒になるよ!」
とありがたい言葉をいただきましたが、実際のところ、これは想定外です。
というのも、この「酵母無添加古式生酛」は、本年度の頒布会の専用製品です。超目玉作品。
最終月の6月頒布ですが、ちゃんと出さないとなりません。
なお、当蔵は、酒母の後のもろみ期間が結構長い。だいたい完成までに40日はかかります。
また、搾った後も、火入れまで、余裕をもって2週間くらいは置きたい。
火入れした後、出荷までさらに一ヶ月くらいはおかないといけません。
そうこう逆算して酒母の日数を決めましたが、最長でも40日で仕上げる予定でした。
だが、もはや、間に合いそうもありません。
さらに延ばすにしても、ギリギリ50日以内に仕込みにもってゆかないと、
6月中の発売が難しくなります。
なんてことだ!
やっぱり古式生酛なんて、大見得切らなきゃ良かった!!と悔やみましたがもう遅い……。
念のため、実は酵母がビミョーに潜んでいないかな? と淡~~~すぎる期待を抱き、
試験場さまに頼んで、この酒母もろみを、チューブに入れたまま5日以上、30度の空間に置きっぱなしにしてもらいました。
結果として「何も変わらない」との報告でした。
試験場さまの結論としては、このまま温度を上げても、この酒母にはしばらく何も起きないということでした。
「空気中から酵母が降ってくるのを期待できますか」と聞きましたが、
ぽつぽつ入ってくる程度では、きちんと湧くまでにどれくらいかかるかわからないということでした。やはり、かなりの量の初発酵母がいないと、通常の期間で酒母は仕上がらないようです。
そもそも、この酒母自体の糖分も酸度もかなり高く、いまさら、容易に湧き着きにくい状況です。酒母室自体の衛生環境も高いので、空気中の酵母が入って、すみやかに湧くのは難しいということでした。
*なお、他の湧いている酒母からもろみをちょいと取って、それを入れる「差しモト」という手法もあります。江戸時代などは、普通に行われてました。「差しモト」的によく出来た酒母から酵母を採取して別の酒母に使うやり方はいろいろとあって、中には「紙」を突っ込んで酵母を採取し、保存するようなこともされていたみたいです。
しかし、今回そういうことはしません。他の酒母は、培養酵母を使用していますから、それを差しモトしたのでは、酵母無添加の意義から離れてしまいます)
さらに、恐るべき事実も発覚しました。どうも、あまり考えている時間はないようなのです。
というのも、こうした乳酸発酵液を、そのままほっておくと、さらに乳酸菌の同士の中での遷移がさらに進み、いずれ、別のもっと酸度が高い乳酸菌が来るかもしれないということでした。
実は、生酛の乳酸菌遷移は、
1、乳酸球菌(ロイコノストック・メセンテロイデスとか)
がはじめに増殖し、それから
2、乳酸桿菌(ラクトバチルス・サケイとか)
が追っかけて増殖します。で、最後はサケイだけになるわけです。今、この段階ですね。
しかし、これをほっておくと、さらに強烈な乳酸菌(これも桿菌)が生えてくるかもしれないということです。
第3ステージの主役の乳酸菌は、ラクトバチルス・ブレビス、(あるいはラクトバチルス・プランタラム)といったさらにタフな乳酸菌。もっと高い酸度まで発酵レベルを押し上げる、乳酸菌のリーサルウェポンです。
実は、乳酸発酵食品全般において、3段階くらい乳酸菌が遷移するのは、ざらということです。
生酛は、二段階目の中程度の強さの乳酸菌が来たくらいで終わりで、酵母発酵に移行させます。
奥が深いですね・・・
きゅうりの漬けもので説明すると、
・菌が全然生えてない状況は、単なる「浅漬け」。全然酸っぱくない。
・初期の球菌が生えたくらいは、やっと酸っぱくなったくらい。初心者向けの漬け物。
・中期の桿菌が生えたくらいは、いわゆる普通の漬け物レベルかな。ちゃんと酸っぱい。普通に売ってる類いといえまるらしいです。
・さらに強い菌が来ると、ややプロ向けの漬け物。かなり発酵させた炭酸ガスみたいな刺激が感じられるような本場ものキムチ、あるいは「すぐき」「柴漬け」のようなハードな酸味になります。
なぜ、生酛ではここまで乳酸発酵させることがないのか?
これには、理由があります。このように最終段階で出現するブレビスといった乳酸菌は、たいていアルコールへの抵抗性も高く、キムチみたいに冷蔵庫でもがんがん酸っぱくなるくらい、低温にも強い。日本酒造りでは「腐造性乳酸菌」といって恐れられている菌です。
こんな菌が、酒母で優勢になったら!! かなり恐ろしいですね。
酸もかなり高くなって、なかなか酵母が増えられなくなったり。
無事に酒母ができても、これら強靭な乳酸菌はアルコールで淘汰されにくいので、
もろみまで引き継がれて、最悪もろみが失敗してしまう(腐造)可能性が高くなってしまうかも・・・・。
生酛系酒母でこういったレベルの乳酸菌が降臨してしまうと、超危険ということだからでしょう。(昔から「涌き遅(わきおそ)」の生酛は、酒造上、危険をはらむもので、うまくいっても酒が鈍重になるのは避けられないと言われていましたが、そういうわけなのです)
とはいえ、こういう乳酸菌は、現代の日本では超メジャーな乳酸菌。キムチとかヨーグルトとか、サプリメントなどで盛んに使われているので、もはや酒蔵への侵入を防ぐのは至難の業です。
乳酸菌同士の遷移は起こりやすいようですし、警戒しなくてはなりませんね。
・・・・ということで、あまりこの酒母をほっとくわけにもいかないのでした。なのです)
さて、時間がありません。
どうしたら良いのでしょうか。
そこで、まあ、醸造家として考えることはひとつなんですね。
私の酒造の先生的な存在の「ゆきの美人」の蔵元、小林忠彦氏にも相談しましたが、
即答で、
「今から、また麹入れればいいじゃん」
そう。そうなんですね。さすが師匠。
培養酵母を入れないとしたら、そして速やかに酵母を供給するには、それしかないんです。
麹は、醸造関係の研究者の方々からは、常々「雑菌の巣」と言われるくらい、
様々な菌がくっついています。
もちろん、酵母も大量にくっついてますから、これを補給するのが得策なのですね。
イレギュラーな手ですし、衛生的にも不安は残りますので、
あまりやりたくはないのですが、これよりほかに手がありません。
あ、終わらなかったです・・・。
次回が本当の最終回ということで・・・ではまた。