Beginning 漬け

前回のブログの続きで、マジで「糠味噌」造ろうかなあと思ったのですが、
糠味噌というのは、微生物的には、まさに「カオス」そのもの。
雑菌を蛇蝎のごとく憎む、当蔵の製造現場は、無論いい顔をしないでしょう。
山廃など、デリケートな酒を仕込んでいるときは特に。

昔から日本酒造りの現場では、例えば「精米屋」(精米を行っている者)は、
同じ職場内だというのに、蔵の中に立ち入ることが許されなかったくらいです。
(今でも基本的には、そうでしょう。例えば、精米屋が麹室や酒母室に、
精米の作業着まんまで入ってきたら、たたき出されるはず)

なぜなら、糠そのものが、腐敗しやすく、雑菌の温床だからです。

もし私が糠味噌造りまくっている事が知れたら、
「ああ~残念! 『糠味噌』造っている人は、添桶のぞかないでください、もろみ
舐めないでください」
などとひどいことを言われそうなので、まあ、仕込みやってるうちは、
もっとライトな漬け物からやるべえと。

そこで、勢いで「粕漬け」をしました。
具材は冷蔵庫にあった「筋子」と「白身魚の切り身」とキュウリ。
しかし、ただの粕漬けではない!!

なんとこの粕漬けに使った酒粕は、かの、NEXT5 共同醸造酒 “Beginning 2010″ 
の酒粕なんですよ!
実は、酒母タンク丸ごと一個ぶん使って、この粕のみ残しているんですよね。
レアですよ。我ながら、機転が利きました。

“Beginning 2010” は、昨年12/24発売の酒でしたから、この粕も、まだまだ白くて新鮮。
純米だけど良く溶けたので、裏打ち(米のつぶつぶ)はなくって、料理には使いやすいですね。
無論、まだ堅いので、水と酒を加えて練って溶かすことに。

どうせなら最高に贅沢にいくべえということで、味チェック用に私が持っている
「やまユ改良信交 火入れ」(夏~秋発売予定。生も満足いく出来ですが、
こっちのほうが完成度高し)を加え、練りまくりましたが、さすがに熟成しておらず、
なんとなくコクが足りないので、魚を漬ける方には、アミノ酸補充を目的に、
「ヤマキウ(太平山)」の醤油の最高峰クラスの「熟成天然秋田杉桶貯蔵」
(高いが旨い。「太平山」さんに蔵見学行くときに買います)を少々垂らしてみました。

$蔵元駄文-食材

↑ 名付けて「Beginning漬け 2011」!!!!

……でも、私って酒粕、正直、そんな得意でないんですよね。
(ここまで長文を書いておいてなんなんですが—–)

酒粕そのもの味の改良は無意味だとしても、粕漬けの味には、もっと改良の余地がありませんかね。
最近の若者は、普通のおしんこ(浅漬け)でさえ食わないっていうから、
粕漬けは、ほぼアウトでしょう。なんとなく、気持ちはわからなくもないんですよね。

それはさておき、キュウリは、始めに一日くらい軽く塩漬けして、あとは数日干してから、
酒粕に短期間漬ける程度がいいかなと思ってます。

魚と筋子は、漬けてから3日くらいでしょうかね? 
まずは出来たら食べてみましょう。どんなもんでしょうか。