本日、「平成21年度 東北清酒鑑評会」の授賞式と利き酒会がありましたので、
杜氏と一緒に仙台に行ってまいりました。
2人抜けたので、後に残す現場が心配だったのですが、さすが優秀な部下ばかりで、
こちらの心配をよそに、難なく切り抜けたようです。
おかげで、私と杜氏は心置きなく出品酒の利き酒ができました。
森川、津川、古関、伊勢、津田、三野&ヘルパーさんたち、サンキューです。
さて、今年度の「東北」の結果ですが、おかげさまで、
純米酒と吟醸酒の部、どちらも優等賞の
ダブル受賞となりました。
前期は、アルコール添加の高級酒をほぼ全廃にしたため、
いわゆる「大吟醸」がなくなり、すべてが「純米大吟醸」になりました。
その勢いで、市販酒のみならず、出品用に仕込むお酒も純米造りに切り替えました。
ほか、出品酒だけにあまり時間を取られたくなかったので(市販酒をおろそかにしたくないので)
仕込みの大きさを小さくして、400キロ総米という小仕込みにしました。
本数も、2本だけと(以前に比べれば)けっこう減らしたため—–
予想通りで、あたりまえなんですが、
コンテストでは、けっこう苦しい戦いを強いられました。
春の新酒鑑評会は予選落ちで銀にもならず、
秋の秋田県品評会では優等賞どまりで、知事賞には届かず—-
それでも、だんだんと味わいは深くなり、ついに、東北では良い成績をおさめることができました!
やはり純米は、きっちり造ると、搾って間もない春先には、
渋くて固くて薄っぱで、なかなか戦いにならなかったのですが、
時間とともにどんどん花開いてきます。
純米大吟醸には、アルコール添加した通常の大吟醸にはない
濃密な奥深さが私には感じられます。
造るのも難しい、賞は取りづらいし、純米造りは大変ですが、
あえてトライした甲斐がありました。今後も、すべて純米酒で戦おうと思っています。
ということで、東北鑑評会、吟醸の部、純米の部、ふたつあるのですが、
吟醸の部をいただいた酒も、実は純米なんですね。
言っていいのかどうかよくわからないですが、これ、まるきり同じ酒なんですよね。
出した酒全部、同じ純米酒です。
思えば、私が蔵に戻ってすぐにスタートした
平成20年度醸造の大吟醸は、
春の新酒鑑評会で金賞、秋の秋田清酒品評会で知事賞、東北の吟醸の部の優等賞と三冠を取りました。
あれがかなりのプレッシャーになっていたんですが(私よりも、杜氏にでしょうね)
それだけに、本年度、
この平成21年度の東北鑑評会で、最後に良い成績をいただけたことが嬉しいです。
考えてみれば、あの受賞にめぐまれた平成20年度は、
8本くらいの大吟醸(「大吟醸 佐藤卯兵衛」「大吟醸 吟華千輪」
「名門酒会 雫酒」などなど)の中から、その時々、良いコンディションのものを選んで
出品するという、たいへん贅沢なことをやっていたわけです。
しかも、それらは普通の大吟醸の仕込みですから、まあ純米造りよりは神経を使わないものでした。
それに引き換えこのたびは、山田錦の40%という高度精白米を使った出品用の仕込みは、
前述のとおり、小仕込みが2本のみ。
(しかも、酵母の選択を間違って、そのうちの一本は失敗となったため、
実際、勝負になるのは、一本のみという有様でした)
この戦いは、本当に勉強になりました。一本の仕込みの酒を、より深く見つめ、考えました。
おかげで、今後の純米大吟醸造りは、かなりレベルアップすることと思います。
さて、会場で、金の首掛けのかかった当蔵の酒の写真を撮りまして、
先刻、パソコンに取り込もうと思ったら、
またカメラが壊れました!!
パソコンとの接続中にトラブルが起こって、データが破損する模様です。
ということで、国税庁仙台局のHPを引用します。(下、クリックするとリンクします)
平成21年東北清酒鑑評会 優等賞受賞者名簿
ご覧の通り、秋田勢は軒並み健闘し、すばらしい結果を
残しました。昨年は、受賞数が横並びだった山形、福島を、
今年は完全に抑え、ずば抜けて高い成績を残しました。
秋田の酒のレベルの高さを遺憾なく知らしめた、平成21年度東北鑑評会で、
この点もたいへん嬉しいことです。
さて、このダブル受賞の血と汗と涙の純米大吟醸、まだやや固いくらいので、
もっと旨くなるはずですが、いつころ発売しようかな?