純米酒を極める

先日は、埼玉「仁左衛門 吟亭」さんにて、「蔵人と語る会」に参加してきました。
 県外に出荷しているお酒を中心に、けっこうレアな酒なども
 特別にいくつかお持ちいたしましたが、なかなか盛り上がったようで良かったです。
 私も、楽しい時間を過ごさせていただきました。
 お客様、また「吟亭」のスタッフのみなさま、ありがとうございました!

蔵元駄文-試飲会

 持って行った酒では、75%純米の生酒が思ったより旨くて、びっくりしました。
 出来たときは、さすがに低精白なので、ごつごつして荒っぽい感じだったんですが、
 生で丸~くなった酒を冷やで飲ると、—–それ以上削る意味が疑われるような味になってまして、
 我ながら、複雑な気持ちに。
 
 その後、帰宅の途へ。
 さて、羽田空港第2ターミナルには、お気に入りの店があります。
 「tokyo’s tokyo」という店なのですが、取り揃えたアイテムのセンスがとってもいいんですね。
 そこで、驚くべき事が!
 ↓
蔵元駄文-純米酒を極める



 純米酒の良さを啓蒙し、数々の銘醸蔵を指導した、上原浩という元鑑定官の大先生の
 著書、「純米酒を極める」(光文社新書)という本が!
 ではなくて、
 その隣に、「東京おさぼりスポットナビ」(洋泉社)
という本が!
 これは、もともと山海堂「東京おさぼりマップ」という出版社から出ていた本なのですが、この本来の出版社が潰れたために、版権が買い取られ、
姿を変えて出ている本です。編集者が仕事仲間ですので、この本に私も関わっているのでした。

 この本、初版2006年の末なんですが、この本が作成されていた時は、
私は酒造りがやりたくなってライターをやめて、広島で研究をはじめていた時です。
ただし、実は、書き物の仕事も、(いきなり全部やめるわけにいかず)結構、こなしてました。

この本も、とにかく製作に人手が足りないということで、
出来る限りの協力をしたことを覚えてます。東京都内の、「仕事を『さぼれる』場所」
の手引きなので、広島にいた私は、取材はできなかったため、
知り合いのライター等を紹介し、私は、スポット紹介以外の、もろもろの雑文を書いたり
校正したりしました。

「『おさぼり』は、生産性を上げるポジティブなことだ!」とか、
「ホテルのロビーでさぼっているところ、たまたま上司に見つかったらどうするか?」
 とか、やや無理矢理な文を書いてますが、今読み返すと面白いものです。
 時の経つのは早いというか、世の中は変わるのを実感するというか、
 谷垣総裁や管首相など、昔、雑誌の政治関係の記事で、
 取材をよくした人が、最近、政界のトップについたりするのを見ると、
 感慨深く思ったりします。

 ちなみに、谷垣さんとか、ほか、有名どころでは阿部元首相とか、
(自民党の)政治家の多くは、実家が造り酒屋なんですね。経歴の取材などしているときに、
 廃墟と化した酒蔵を見たりすることも稀ではないです。 

 その後、私というか、私どもの蔵の変遷は、
2007年秋~ 私が帰郷しました。鈴木隆くんが杜氏に任命され、これに加え
        伊勢俊介、私の3人の若手で、
        はじめて高年齢の季節労働の蔵人たちに入り交じり、
        酒造りをしました。一番疲れた年でした。

2008年秋~ 意を決して、醸造設備を更新。高齢の季節労働の蔵人による
        冬期一括製造をやめることに。
        鈴木、伊勢、私に加え、西日本から、津川正隆、津田雅晴が参画。
        これに加え、契約栽培農家のヘルパー2人で、無理矢理、
        酒造りを開始。遅れて森川英貴が参加。翌年春に、小関弘が参加。これも
        めちゃくちゃで大変な年でした—–

2009年秋~ 2造り目。春を迎え、秋田県立大学院生の
        佐々木公太が2年越しの分析のバイトから、正式にメンバーに。
        高橋はるか、三野健太という理系技術者も参画。10人体制になり、
        私はやっとフリーに動けるようになり、杜氏も製造全体の指揮が執れるようになり
        ました? で、仕込みは、2010年5月に終了! これもロングランで
        トラブル続きの大変な年でした。
        ちょっと前に、最後の酒が搾られ、今は、やっとゆっくりできるようになってます。
        
 という駆け足で、なんだか一瞬に過ぎ去ったような気がします。
   
 いやー、純米酒の伝道者である上原先生の本と、
 昔、関わった、酒とはまったく、なんら関係のない、私の駄文が大量に仕込まれた本が、
 空港の売店で、仲良く並んで売られていたのは、我ながら不思議なことでした。
 たわいもないことですが—–。