出品バトル酒 報告9「仲」

さきほど、「私は見たことないけど、君のブログは読んでいてツライみたいだね」という
感想を、親しくさせていただいている酒販店さんからいただきました。

めげないでいきましょう!!
仲仕込み!!


ふと、今思い出したんですが、
もう5年くらい前にもなる話です。

私が、酒の仕事をやりたくなって、とりあえず、前の仕事とかけもちで、
東京は王子の滝野川にある、「酒類総合研究所」の東京事務所で、約一ヶ月半の
「清酒製造技術講習」に行った時のことです。

そこで、私は、三段仕込みの「添」「仲」「留」がすぐに覚えられず、
何度も、同業者の蔵元、蔵人たちに指摘され、大変恥ずかしい思いをしました。

麹造りでは、「盛」に続き「仲仕事」、「仕舞仕事」という作業があるのですが、
この「仲」という部分が、三段仕込みにもある同じ言葉なので、ごちゃまぜになったのでした。

三段仕込みを「添」「仲」、留でなくて「仕舞」とか言ってしまったり、

麹の作業について、
「盛」、「仲仕事」、仕舞仕事でなくて、「留仕事」とか勝手な言葉を
瞬間的に捏造してしまったりしまして、
「えっと、君、誰? というか、蔵元?」などと失笑を何回買ったか、わかりません。

言い訳がましいのですが、言い訳をさせてもらうと、
あの時は、昼休みに記事原稿を書いていたり、
取材先から夜行で帰ってきてそのまま授業に出るなど
めちゃくちゃなスケジュールでかけもちしていたのもあって、
授業はまったく覚えていません。おそらく、三分の二、
いや二分の三くらい寝ていたのでしょう。まさに人生の汚点のような期間でした。

「相模灘」「鷹勇」「千代の光」「世嬉の一」などの蔵元さんがいらっしゃいましたよね。
すみませんでした—-


何を言いたいかというと、三段仕込みの「仲」。
今日のブログのテーマですが、この「仲」は、麹造りにもある言葉なので、まぎらわしいぞ、
みんな、気をつけよう、ということです。

何を書いているのかよくわからなくなりましたが、
一昨日、添仕込みをいたしまして、昨日は「踊り」でしたね。
今日は、蓋をあげると、ほっこり、「全面泡」。
けっこう、増殖が進んでいる、パワフルな状態で、万事、オッケーです。


蔵元駄文-全面泡

この踊りまくったもろみを、大きなタンクに移し替えます。
そして、所定量の麹と水を加えます。
最後に、蒸米が入って、「仲」の終了です。

蒸米の温度を下げるには、地面に敷いたむしろの上に米を載せて、
外気で冷やしたり、また、放冷機という湯気を吸引する仕組みの箱形の機器を使う方法の
二通りがあります。
私は、放冷機という機器を通して、一気に、蒸米の温度を下げます。
あまり米を硬くしたくないからでもありますが、今回は、
市販酒と、基本的にすべての作業が同じということを心がけました。

蒸米の温度は、6℃くらいが欲しいので、
放冷機の操作に熟達している、鈴木杜氏に手伝ってもらい、うまく、温度を合わせます。

蔵元駄文-杜氏



仲直前の光景です。手前のタンクに添が入っています。後ろのタンクが空っぽで、
もろみが移されるのを待っています。

蔵元駄文-仲直前


仲後の光景。添のタンクは、とっぱらいました。
ということで、
ひとつのタンクから、2つの親桶に、もろみが等分に移されたのです。

蔵元駄文-仲タンク二本

そう、今年製造の「見えざるピンクのユニコーン」は、
ひとつの酒母~添から分けられたふたつのもろみにおいて、
その麹歩合や温度経過などを、まったく異にすることで、
性格の異なる二つの純米大吟醸を造ろうという取り組みなのでした!!