さて、酒母仕込み当日がやってまいりました。
まずは朝一番で、「一白水成」から仕込み水が届けられました。
この水は、秋田最高クラスの「硬水」。確か、硬度5~6というので、かなりです。
口に含むと、ころころと、ハリのある何かが遊ぶ、飲みごたえある良水です。
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この水をタンクに入れて、雑菌の繁殖を防ぐため、「乳酸」を添加。
その後に、昨日できた酒母麹と、酵母を入れて混ぜ合わせます。(これを水麹といいます)
今回使う酵母は「秋田酵母 No.12」というものです。
なぜこれを使うかというと、この酵母の選抜プロジェクトであった「酵母開発会議」は、
この「ゆきの美人」の小林さんが発起人であり、リーダーであったからです。
もともとは、蔵と酒販店の有志が集まってはじまった、ごく私的なプロジェクトだったのですが、
最終的に酒造組合を巻き込んだ大きな企画になりました(うちの鈴木杜氏も、
選抜のための酵母培養の仕事をしたりして手伝ったということです—-私が蔵に帰る
前の話なのですが)。
なので、「No.12」(同時開発された「No.15」も)は、「ゆきの美人」酵母とでもいうべきもの。
発酵実験なども、この「ゆきの美人」で行われたくらいで、この酵母の扱いにかけては
小林さんの右に出るものはいないでしょう。
今回は、この「秋田酵母 No.12」単体で仕込みます。
バナナ様の香りが非常に強く出る、さっぱりした酸味が特徴の、現代的な日本酒ができるでしょう。
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蒸米が出てきました。
これを、所定の温度まで下げます。
蒸米を、タンクの水麹に投入したら、しっかり櫂入れ。よく混ぜ合わせます。
そうして、6~8時間くらいほっておきます。
仕込んでから、8時間経過。
米が水を吸って、粒立ち良く盛り上がってますね。
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これをまた、おおざっぱに櫂入れをします(これを荒櫂といいます)
そうすると、やや水っぽく、やわらかく、ぐちゃぐちゃな感じになります。
明日から、非常に冷えた空間の中で、
このような、まだおかゆのような状態の酒母を、2~3日、外気温で冷やして、
低温状態を維持します。
なぜこんなことをするかというと、酵母が発育するまえに、先に米をじっくり溶かさ
なくてはいけないからなのです。酒屋用語では、この期間を「打瀬」といいます。
やることは、一日2回の荒櫂のみです。
また次回!