共同醸造酒 Passion 2011 vol.2 酒母麹の盛り

さて、 酒母麹造りの続きです。昨日は「床」で今日は「棚」の日です。

昨日、種を切って、一晩密閉した麹を、
小さな容れ物に小分けいたします。これを「盛り」といいます。ここから「棚」の期間がはじまります。
↓ は、これから、「盛り」を行う直前の米です。昨日ビニール密閉した麹をこのように
一旦、広げます。もう菌糸が白く点々とみえる状態まで、一晩で麹菌は発育しています。
枯山水のようなことになっていますが、こうすることで、水分が発散され、
より引き締まった麹になります。

蔵元駄文-盛り前


で、盛りました。「ゆきの美人」は、100%蓋麹です。
「蓋」とは、「棚期間」に、麹を格納する容れ物の中では、最小サイズのもの。
容れ物が小さいと、格納される米の表面積が広くなるので、
乾燥能力が高く、一般的には「突きハゼ」とよばれる、乾いて締まった麹が
造りやすいとされます。

ちなみに当蔵で使っている容れ物は、「大箱」とよばれ、もっとでかいものです。
どういう容れ物を使うかは、その麹室の環境や、酒質によって決定されるので、
何が一概にいいかは言えないところはあります。

とはいえ、蓋麹は利点が多い。手間はかかるが、基本は乾燥しやすい環境なので、
麹の品質はキレイなものになりやすい。
あとは、温度が低くなりすぎたり、高くなりすぎたりしても、対処しやすい。
それぞれの蓋を積み重ねたり、あるいは単独で置いたりと、いろんな手法でカバーできます。
温度のコントロールがしやすいんですね。
なので、「麹造りは、蓋にはじまり、蓋に終わる」と言われ、初心者から熟達者にまで愛されて
いるのです。

以下は、蓋に盛って、二段重ねにして、布をかけて保温/保湿開始したところですね。
これが朝8時。

蔵元駄文-盛りまくり


そして、夜8時。
仕舞仕事と呼ばれる作業を行ったところです。
最終の乾燥調整を行い、蓋の中に格納した米を、広げて筋をつけて、よく乾くようにしています。

蔵元駄文-仕舞

これから、15時間以上、40度以上の高温を維持して、完成!!
ということで、明日のお昼過ぎには酒母麹ができあがるというわけですね。