ガチで切り込む日本酒雑誌

秋田駅前からイトーヨーカードが撤退した後、いろいろとテナントがまた入って
FONTEという複合施設が登場しましたので、先日、行ってまいりました。
本を買いにです。
香川県が発祥の「宮脇書店」さんが、5Fぶちぬきでテナントを張っておりまして、
徒歩2分程度にある、FORUSの「ジュンク堂」とサシで闘りあわんと
好戦的なオーラをぷんぷんと出しながら営業をしておりました。

その日は、駅前で秋田市の観光客誘致事業の説明会がありましたから、
昼食を取るついでに「リアルワインガイド」でも買おうと立ち寄っただけなのですが、
まあ、面白くていろいろと最近の雑誌の傾向を眺めておりました。

ほんと、いっぱいあるんですよね。マニアックな本が。
「KUWA」というクワガタ専門の本とか、ペットの本なんて、各犬種、猫種ごとに
月刊誌があったりしますよ。
「テリア・ファン」とか、プードルなんて、「プードル・スタイル」とか「プードル・サロン」とか
複数種。

で、翻って見ると、
まともに全国的に書店で展開しているような「日本酒の雑誌」ってないんですよね(?)。

もちろん食品系の総合誌や、酒類系総合誌での、定期的な特集などはあります。
ほか、定期的にでるカタログぽいのもあります。

けど、しっかりと日本酒に特化した専門的雑誌がないですよね?
ワイン関係では相当あるのに?

そこで、ガチで日本酒に切り込む、ファイティングスタイルの雑誌を待望!
なぜに、いままでなかったのか?
フレンチブルドックにガチで切り込んでゆく季刊専門誌があるくらいなのに。

この趣味が多様化した時代で、読んでも読まなくてもいいような底の浅いような本など、
造ったところで長続きいたしません。
今や、待望されているのは、骨太の趣味性が強い、ゴツい雑誌。
まっとうな日本酒のジャーナリズムなのでは?

個人的には、造り手が見て、唸るような雑誌があれば最高。
ニュアンスは「Rockin’ on」みたいな、文体が独特で批評性の強いものの
ほうがいいと思いますね。若者に開かれている感じがします。

もっとイッてしまって、ヘヴィメタ雑誌の「BURRN!」みたいなのでもいいなあ。
巻末に、相当辛口で残酷なレビューが書いてあって。
とある新製品をつかまえて、100点満点中、20点とか裁断を下したり。

そこまでやるなら、編集陣にはレベルが高いものが要求されますよね。
批判精神のないヌルい雑誌なら、編集者は、酒など知らなくても勤まるでしょうが、
あえて真実を書くとなると——。

・特定の酒質傾向に偏向しないか、全般的に理解はある方で、

・日本酒以外の酒類、特に料理/食文化、できれば農業にも教養深く、

・栄養学の初歩をある程度知っておられて、偏った(カルト的)健康知識/思想に陥っておらず、

・「利き酒師」レベルだけでなく、(技術者レベルとまでは言いませんが)
ある程度の製造場現場的な利き酒もでき、

・微生物学の初歩は知っておられるか、あるいは酒造りにある程度の期間、実際に参加するなりしている——

できれば、このくらいでないと、業界内外のモノのわかった人にとって、
「専門誌」として読む価値のあるものを造り上げるもことは難しいのではないか?

—–なんて自分を棚に上げて書きましたが、滅多にそんな人いませんよね、
上記は、あくまで理想中の理想ということで。編集者/記者にとって、きっと、最も必要なのは、
正義感と情熱(できれば冷静で客観的な目も)だと思いますので。

プラス、雑誌として、健全なジャーナリズムを守るためには、以下の条件も必須。

・広告依存の雑誌にならない
(大手が広告収入の主要源泉となれば、発行側はスポンサーに配慮せざるを得ず、記事の
客観性を保つ事はできない。
例えば、テレビでは、大お得意様の東電やTOYOTAの批判はあんまりできないように。
雑誌でも同じで、広告収入をあてにすると、広告打ってくれた蔵の批判はできなくなり、
ただちに骨抜きになる)

・提灯記事だらけの雑誌にならない
(広告依存型の雑誌の典型は、提灯記事だらけの雑誌。
批評精神のかけらもないので、もはや専門誌にはならない。
けど、実際は、こんなんばっかり。
地方誌などもほとんどこれ。最近の私も、レストラン紹介誌、グルメ系雑誌などを読んで、
実店舗に足をのばしてがっかりさせられること、しきり)

・ペイドパブを認めない
(メーカーがお金を払って、さも雑誌の特集のように見せかけて掲載する広告。
有名人や批評家を使ったりして、信頼度を上げる。やるほうも、許す方も、
ジャーナリズムの風上にも置けない)

ということで、
やっぱ問題は(軌道にのるまで)収入をいかにするか? でしょうね。

たぶん紙媒体でなくて、
i-phoneや、i-pad向きのデジタルコンテンツにして、製本費/流通費をカットできれば、
(編集費だけになるので)、広告収入にあまり頼らなくてもいいような気が。
誰かやりません?
私は買うけどなあ——