出張飲酒日記

蔵元駄文-酒友

先週はまるごと、私にしてはかな~~り長い出張の期間でございました。
しかしながら、全国津々浦々にて、スペシャルな酒を飲みまくりまして、
酒造りを直前に、また色々と勉強になりました!

まずは、六本木の「酒友」さんにて飲みました。さすがのラインナップで、
「十四代」の最高級酒 七垂二十貫 も! 何年ぶりに飲んだでしょうか。実に模範的な
純米大吟醸であり、至福の時間でありました。

蔵元駄文-笑四季

その日は、「笑四季」の蔵元さん、竹島氏(貴醸酒モンスーンや、高酸味純米酒アンタイドなど、
おしゃれな日本酒をいろいろと輩出されておられます注目の蔵元様です!)と、
一緒でございました。
現代アートに造詣の深い竹島氏の秘蔵ッ子である、貴醸酒モンスーンは、
当蔵の貴醸酒である茜孔雀と同じようなところをみておられるようでした。
なので、お互い、なにも言わずとも意気投合するような具合。
その後、別の会合に合流しまして、「獺祭」の桜井社長様にご挨拶させていただきました。

蔵元駄文-名古屋

で、名古屋。ここでも、様々な酒をチェーック! この日のベストは—-
「松の司」の2009年醸造の渡船使用の純米吟醸。この蔵の持ち味である
奥に潜む枯れた味わいが発揮されておりまして荘厳。
やや飲み疲れてきた終盤で、たいへん冴えた印象を残しました。
なんか「盆栽」みたいな酒だな、と思います。わかる人にはわかる小宇宙のような
ものがあります。

あ、日本酒を、まだ一切飲んだことのない外国人に飲ませるとしたら、
きっと私は「東一」の純米大吟醸と、この「松の司」の3~4年くらい
熟成した純吟を飲ませると思いますね。

(2007年くらいのブルーラベルとか、実に飲みたくなりました。買おうっと)

蔵元駄文-名倉山&写楽

そして、福島へ。
会津若松で蔵元さん達とご一緒させていただきました。「名倉山」の松本健男社長には
何から何までお世話になりまして、感謝感激です—-。
「名倉山」さんは、各種のコンテストで素晴らしい成績を取りまくっておられる超絶技巧蔵。
特に、最近は南部杜氏の自醸酒鑑評会でなんと首席一位となるなど、
輝かしい成績をおさめておられるとのことで、尊敬申し上げておりました。

松本社長様と一番盛り上がった話は、美山錦について。
美山錦を長らく使ってきて、最近では長野産から、秋田産に変えてみたりと
いろいろと試行錯誤されておられたことを聞きました。

美山錦という米は、本当に難しい米なのです。
この米だけの「固有の特徴」があり、それが微妙に出ると魅力なのですが、
たいてい良くない方向に出てしまいます。
麹だけでも別の米にすると相当違うのですが、あえて単一米でやるときは、
相当に気を引き締めないとなりません。
そういう悩みを、社長様と長らく情報交換させていただくことができまして、
実にありがたい時間でした。

二次会では、「写楽」を醸す箭内杜氏さまとご一緒させていただきました。
ユーモアたっぷりの非常に熱い方で、また延々と酒造りの話で盛り上がりました。
「写楽」は、今年、各種の利き酒会では、いつも上位につけておりますし、
NEXT5の利き酒会でも、実際相当いい成績でした。まさに、上昇気流に乗る最注目蔵です。

杜氏の箭内さんは、もともと地元で陶芸家を目指していたのが、
いつのまにか酒造りをやるようになったということですが、実に頭だけでなく、
体の細胞すべてで考えておられるような方でした。

五感で感じたことを、徹底的に咀嚼し、緻密な論理に鍛え上げて、
知識に落とし込んでおられるようで、普通の造り手なら、その意味を考えないようなことまで、
きちんと突き詰めておられる。ここまで極めつつあると、造り手/職人というよりも、
芸術家に近くなってきているような気がします。

「写楽」の完成度、そしてその勢い—-すべて、箭内杜氏の日本酒への愛がなせる業なのかも
しれません。
まさに「写楽」の肩張りにある「純愛仕込み」そのもの! あっぱれです。




蔵元駄文-福島試験場酒

で、↑のお酒は、ご存知の方おられますか?
「夢雫21」これはすごいですよ—–。
おそらく福島県でも、実に限られた方しか知らない、超弩級のレア酒。
福島県での大吟醸の評価会で第四位。今後、知事賞の可能性もある酒だそうです。

製法も度肝を抜くし、知らない技術が、いろいろと詰め込まれた酒でした。
恐るべき福島の超高度技術! これもあっぱれでした。


蔵元駄文-田中くん

で、秋田に帰って参りましたら、大曲の花火大会。
これに合わせて、福岡から、酒類総合研究所で私と同窓だった、
白糸酒造の田中くんがやってきてくれました。

飲んだ酒はいろいろ。春霞、九平次の2009年山田錦、ゆきの美人などいろいろと飲みまくり、
素晴らしい夜でした。

蔵元駄文-九

うーん。ちょっと肝臓を休めないと、ですかね—–。