東北清酒鑑評会

ご無沙汰しております—さすがに繁忙期になってまいりますと、
家に帰っても、ぐったりと布団に潜り込んでしまうことも多く、
ブログの更新が滞り、失礼申し上げておりました。

さて、ここのところのご報告ですが、毎年恒例の国税庁・仙台国税局が開催いたします
「東北清酒鑑評会」が、仙台にて開かれました。
(昨年は「一白水成」福禄寿酒造が、最高評点で、首席/総代をいただきましたね)

本年度、当蔵は「吟醸の部」「純米の部」、それぞれにて優等賞を獲得致しました。
「吟醸の部」は、出品点数282点に対して、約1/4にあたる73点が優等賞に選出。
「純米の部」は、125点に対して、1/3にあたる43点が優等賞になります。

当蔵は、今年は調子良く、出品したものすべて(出品枠は、吟醸の部2点、純米の部1点まで)
において、この優等賞をいただきました。
実際のところ、出品したのはすべて同一の酒で、精米歩合38%酒こまちの純米大吟醸酒です。
(鈴木杜氏の「梨花」でございます。純米大吟醸は、どちらの部にも出品可能ということ。
当蔵は、普通酒以外にアルコール添加酒がないものですから、こういう出品形態になってしまいます)

さて、二つの部にまたがり、100%確実に入賞したということで、
この酒こまち38%純米大吟醸は、折り紙のつきの銘酒ではないかと思っております。

吟醸の部

蔵元駄文-東北1

純米の部

蔵元駄文-東北2

中に入ってる酒は同じ酒こまち38%の純米大吟醸の袋吊りの2番斗瓶ものですが、
貼ってあるラベルが違うのは、杜氏のご愛嬌です。

(クリーム和紙に赤箔の屋号のタイプは、名門酒会さんという地酒団体の限定酒「県外版・佐藤卯兵衛」<酒こまち45%>に使用しているラベルです。
一方、白和紙に金箔の屋号のタイプは秋田県内限定の「県内版佐藤卯兵衛」<美郷錦40%>に使用しているラベルです。)

でもこの優等賞をいただいた酒(=38%酒こまちの袋吊り)について、
春の新酒鑑評会では、あまり芳しい評価をいただいておりませんでした。

というのも、春の新酒鑑評会では、一次予選で落ちてるんですね。
あんときは杜氏はがっかりしていましたね~~。でも、今回の結果が示すように、
秋からは、どんどん評価が高くなり、秋田県品評会でも入賞して、続く今回のこの東北も、
この上ない評価をいただきまして、ありがたいことです!

やっぱり、春の新酒鑑評会を純米で戦うのは、相当に不利なんだなあ—-と
思い知らされた次第です。

春の鑑評会は、大抵、大吟醸(単に大吟醸という場合は醸造用アルコールが入っています)が
出品されます。基本的にアル添酒の方が、酒はキレイになりますし、荒っぽくならないので、
新酒はたいへん有利です。
甘く濃い酒を造って、適当なところで無味無臭のアルコールを適量添加すると、
まろやかでさっぱりして、雑味が少なく、アルコール度が高いしっかりした輪郭の酒が、
すぐに出来てしまいます。無論、春はこちらのほうが、断然有利です。

純米酒は醸造アルコールで薄めないのでもとより濃いですし、
なにしろ酵母に高いアルコール度数を出させるため、酵母由来のいろんな成分も、
時間経過とともにたくさん酒に出て来ます。
できたては荒くて渋く、ごついのです。これが味わいとしてまとまるには時間がかかります。
こういうわけで、純米酒はどうしても、スロースターターな酒質になってしまう傾向があって、
春の時点ではアルコール添加酒に対して不利なのは否めません。

とはいえ、仮に、春に賞をもらえなくても、秋から評価が高まるのは、むしろ貯蔵性が高い証拠で、
本来あるべき日本酒の姿なのかもしれず、誇らしいことではないかなと思ったりもします。
ということで、今年は一件落着ということに相成りました。

——と、いう話の流れでもうひとつご報告あるのですが、
この仙台で開かれた東北清酒鑑評会の前日に、もうひとつの利き酒コンテストが開かれておりました。

日本全国の酒蔵が有志が所属する「日本醸友会」という全国的な技術交流団体がございますが、
その東北支部で、市販酒の利き酒コンテストがあったのです。
東北六県の各醸造試験場の先生の皆様が利き酒し、採点をするのですが、
なんと当蔵の「佐藤卯兵衛(県内版=美郷錦使用)」が100数点の出点の中から、
評点において第一位をいただきました。
いや~驚きました。地味にいい酒なんですが、ありがたいことです—-。

当蔵は、普通酒から純米大吟醸まで、同じく一律に、当蔵発祥の六号酵母を使用していますので、
いわゆる(きょうかい16号以降にメジャーになった)カプロン酸エチルというゴツい吟醸香、
リンゴの蜜のような甘い強い香りは、ほとんどいたしません。
どっちかというとバナナ様の酢酸イソアミルという香りが強いですが、
それも残念ながら(きょうかい14号や9号ほどは)あんまりしません。

そういう中で、当蔵の通常市販酒が、これほど高い評価をいただいたのはありがたいことで、
味で評価いただいたのだと勝手に信じ込んでいます—-。
皆様のご支援あってのたまものであります。
ありがとうございました。


さて、NEXT5の”Emotion 2011 “ですが、康衛君が頑張って管理してくれておりまして、
実に理想的な経過を辿っているようで、相当、期待できそうです。
酒こまちオール55%と、いつもの「一白水成」にはないスペックですし、
酵母も麹菌もいつもと違うので、飲み比べが楽しみですね。

さて、以下は使わずじまいであった秘密兵器。


プレハブ冷蔵庫「Emotion」!!


蔵元駄文-冷蔵庫



「一白水成」では仕込み温度の安定をはかるため、仕込み水冷却等を行うために
冷蔵庫を新設いたしました。
冷蔵庫の中には、酒を保管するためのホーロータンクが。

蔵元駄文-タンク


実は、仕込み時期に温度が高ければこのタンクで仕込もうか?
と話していたのでした。
しかし、仕込み直前にかなり気温が下がったので、使われずじまいになりました。
結果オーライで、現在 Emotion 2011は、ほかの「一白水成」の酒とともに、
吟醸蔵の普通のタンクで、きちんとした低温発酵を営んでおります。






以下は、NEXT5のマスコット。五色の杉玉です。
こちらは、なんと「春霞」栗林さんの奥様が造ってくれました。
実は、トップの杉玉の色が、各蔵のカラーになっております。
こちらは、NEXT5メンバー全員にプレゼントされました。


蔵元駄文-お守り

たいへん可愛く、気に入りましたので、私は、バッグにくくりついておいたんですが、
昨日見たら、杉玉の部分が丸ごと消失して、屋根部分しか残っておりませんでした—-。
う~~~~ん、無念!!
栗林さんの奥様、また造ってくれることを祈りまして、
また次回!