"ENTER.Sake in AKITA"
Richie Hawtin × NEXT5
2015.10.23<FRI> @ JAM HOUSE(akita)
OPEN 20:30
START 21:00
CLOSE 1:00
DJ: Richie Hawtin & Hito
VJ: Kunitsuka
FOOD: 酌屋六三五、トリノス食堂
SAKE: "ENTER. Sake 2015 unpasteurized" & more & more……
TICKET: eplus
http://eplus.jp/sys/main.jsp
ということで興味ある方はぜひ!! また1年ぶりのNEXT5音楽祭ですが、今回は
リッチーホウティン氏を迎えた" ENTER.Sake in Akita"です。
ENTER お抱えの日本人女性DJ Hitoさんと、リッチー氏のステージを楽しみながら、エンター生ほか、NEXT5から提供されるスペシャルなお酒、3種類づつ計15種類以上、フリーテイスティングできます。
これで昨年から引き続く、共同醸造プロジェクト第一弾"ENTER.Sake × NEXT5"が、その幕を閉じることになります。
思えば、酛スリは昨年の12月26日。
ちゃんと全員で真面目にゾリゾリと酛スリいたしました。ちなみに酛スリが上手い順は、多数決で、春霞>ゆきの美人>白瀑>一白水成 ということになりましたね。確か。
醸造中は、超多忙なスケジュールの合間を縫って、リッチー氏も来蔵いただき、意見交換をしました。アイディアを交換しているうち、木桶仕込みの酒を、あえてオーク樽に入れて貯蔵しようかなというインスピレーションが、この頃浮かびました。まさに共同醸造の醍醐味です。ですが、まだアメリカンオークにしようか、フレンチオークがいいかなど悩み始めた頃でした。
生モトは、40日近いものですから、それからコツコツ生モトを作りまして、もろみの本仕込みは2月の3日。
仕込みにはケーブルテレビの取材も来ていただき、無事に仕込みが終わりました。
このあたりは大変にハードな日々が続いていました。酒造りをこなしながら、イベントをはじめ様々な仕事が並行していました。特に1月31日にNEXT5の音楽イベントがあり、このあたりは疲労が極限に達していたようです。とどめが、2月3日〜4日にかけての「立春朝搾り」というイベントで、その周辺、わたしは二日酔いが多く、まったく寝ていませんでした。
酒造りについては、生酛の製法が確定し安定的にできるようになった反面、ENTERの設計について悩んでいました。搾れたらオーク樽に入れて良いものか、逆効果でめちゃくちゃな味になるのではないか——、こんなでかいプロジェクトだから、失敗は許されない。安全なやり方がいいのかな、などと柄にもなく思っていたら、パンクしてしまいました。
2月4日、立春。旧正月の日です。「立春朝搾り」というイベントが終わって昼ご飯を食べている最中——
(ここから先は私事が長く続き、たいへん恐縮です。病気の話が続くので、興味ない方は、最終行まで飛ばしてください)
わたしは、体調を崩しました。食事中に急にめまい、動機と発汗、悪寒に襲われました。自律神経失調症状が出たのです。しかし、軽度なのでほっといたのですね。しかし、これがまずかったのでしょう、日を追うごとに発作がひどくなってしまいました。それから数ヶ月、わたしは、ほぼ毎日そのような発作に悩まされ、常に落ち着かず、夜は睡眠障害で寝られず、2時間毎に目がさめてしまうなど、まったく廃人同然の生活を送るはめになりました。自分で治そうと、漢方やら瞑想やらと頑張りましたが、まったく治らず悪化するばかり。仕事もこなせず悩んでおり、最終的に5月には、周囲の勧めで心療内科にかかることになりました。結果的には「不安障害」、「鬱」やらのありがたくない宣告を受けてしまいました。問題は最後の期待であった向精神薬がさほど効かなかったことで、この時は、実に困難な状況に追い込まれました。
そこで、自分なりに、自分の病状を受け入れて、根本原因を探ろうと冷静に調べることにいたしました。すると、思い当たる原因が発見され、それに対処しましたら、ほどなく回復の兆しが現れて、今はフルタイムで働けるように戻りました。
まさに、ショーケースに入れてスミソニアン博物館に飾りたいくらいの典型的な厄年でした(というか、まだ終わっていないので気は抜けません)。実際、根本的な快方に向かい3ヶ月ちょっとくらいです。まだ疲労感が出やすい、体温調節が不完全などダメージが残ってますので、今年はゆったりやらないとならないかなと思ってます。
なお、こうした精神面にまで及ぶ全身的不定愁訴に悩む方は多いと思います。わたしも今回、この病から学んだことは大きいものでした。酒造りで得た生化学の知識を動員できたのも良かったと思います。酒造りが自分の健康問題の解決の力になるとは思いませんでした。自分の体を構成する細胞は、まさに酵母と基本的メカニズムを同じくしています。わたしは、こうした視点から「醸造栄養学」という醸造理論を組み立てられると思っています。できたら、いつか開陳したいですね。
それはさておき、というわけで、わたしが心身ともに絶不調の中、醸造長・古関を中心とする当蔵の職人が、このEnterもろみをうまくコントロールして、素晴らしいものに仕上げてくれました。わたしは、当時の朦朧とした意識の中で、できた酒を利き酒し、「アメリカンオークに入れてください」と指示いたしました。冷静な判断とは言い難いのですが(笑)、結果的には良い判断でした。
そんなこんな苦労の中で、できあがったのが、この"ENTER.Sake"でした。わたしにとっては、あまりにも重すぎる酒です。 生涯忘れることのできない、強烈な体験でした。
そして、この"ENTER.Sake"プロジェクトの一年を締めくくる今回のイベントこそ、大きな区切りになるような気がいたします。ご興味ある方、会場でお会いしましょう!