出品酒チーム経過報告5

後手後手で何ですが、(もうおとといの話—-)
私のチームの出品麹が完成!

$蔵元駄文-出品麹
投入直前の姿。出来は—-まずまずというか、ビミョーですね。
ハゼはやや多め。でも若くして出しました。米をキレイに溶かし切るのがテーマで、
出来上がりの姿は、いわゆる「力のある若麹」というやつでしょうか?
麹菌は、グルコSという、糖化酵素を大量生産する麹菌と、吟味という特定のアミノ酸を
低減する麹菌「吟味」を1:1でブレンドしてます。
できることはやりました。あとは蒸しともろみで微調整。

$蔵元駄文-新政ドーム
蒸米は、今期、最高の0.8~1という圧力を指定。ばんばんに帆が膨れてます。
そのかわり、米の表面をカラッと仕上げる「乾燥蒸気」は当てないという
ふうに調整しました。
米も水を吸わせてます。「酒こまち」というのは、めちゃくちゃに溶けやすい米なので、
あまり水を吸わせないのが普通なのですが、私はしっかり吸水させました。
他のところで、バランスを取るつもりです。

こういう操作は、ちょうど良く溶かしたいからです。
米の溶解と糖化は、ボーメという値(比重)と、グルコース濃度(ブドウ糖濃度)の
二つの側面から把握します。

技術的な話を申しますと、
設計的には、最高ボーメが8~8.5。最高グルコースは8近辺を狙っています。
日本酒は、「並行複発酵」といって、麹の酵素による溶解/糖化と、
酵母によるアルコール発酵が、同時に、ひとつのもろみの中で起こりますが、
おおよそ溶解と糖化の大半は、もろみ期間の前半のうちに起こります。
だいたい留仕込み後4~5日目くらいで、
(様々な糖分が生産されるため)もろみの比重が最も重くなり、
酵母の直接的な栄養素であるブドウ糖(グルコース)の濃度も最大値に達します。
これを最高ボーメ、最高グルコース濃度と称して、もろみ管理のために把握します。

ボーメが8以上というのは、かなり溶けている証拠です。
一般的に望まれる最高ボーメは、7~7.5くらいでしょうか。
ただし、春狙いの酒ということ、しかも純米大吟醸であれば、
普通のアル添酒よりは、米を溶かす必要があると踏んでの設計です。

(とはいえ、昨年、東北で吟醸/純米両方の部で優等賞をもらった純米酒は、
 最高ボーメ6と異様に低かったです。
米が溶けなければ、発酵を抑えるなどの処理を行ってバランスを取りますので、
「こうでないとならない」という決まりはないのですが)

現時点では、杜氏のチームの麹造りが終盤にさしかかり、今日夕刻~夜間の出麹を
待つばかりとなりました。
かなりすごそうなものになってて、個人的にも興味ある仕込みです。
追って報告します。