麹造り

$蔵元駄文-麹

今しがた、添麹(三段仕込みのうち、初段である「添」仕込みで使います麹のこと。
一般的に米の溶解/糖化力が求められる、けっこう酵素力価が強めの麹です)
を出麹しました。思ったより今年は米が溶けないので、添麹はけっこう、
思い切り良く造り込みましたが、あれでいいのか—? 
相変わらず、麹はやればやるほどわからなくなります。

また、今日は、仲留麹(三段仕込みのうち、後のふたつ、仲仕込みと留仕込みに使う麹のこと)
の引き込みもあって、大変でした。
蔵見学も同時にありましたし、途中から訳がわからない状況。

今日、引き込まれました麹用の蒸米は、なんだかあんまりよろしい感じでなく、
これではギリギリ攻めていっても、一級の麹は出来ないのではと思い、急遽、種麹を変更。
自分の好きな、扱いやすい安牌な種麹菌で、オーソドックスな造りに徹することにしました。

酒というのは、どうもバランスで成り立ってるものらしく、
たいしたことのない麹でも素晴らしいものができたり、
失敗したと思ったもろみから、旨すぎる酒が搾れたりします。

古来から、酒造りで大事なのは「糖化と発酵のバランス」といいます。
最近、特にこの言葉が身に染みます。

例えば、最高の麹でも、酵母の発酵力と釣り合いがとれていないと、全く意味がありません。
また、素晴らしい酒母でも、適した麹がなければ、真っ当な発酵は期待できません。
逆に、凡庸な麹と凡庸な酒母、凡庸な蒸米、凡庸な水から、
最高の酒が生まれることだって、当然あります。

つまるところ、パーツそのものに意味はないということでしょうか。
それよりは、どんな酒を造りたいのかが明確であって、
その目的のために、全てのパーツがバランスよく組み合わさっているかということのほうが
よっぽど重要なようです。

だから、何かが欠けたなら、他の何かで補えば良い。
大事なのは、バランス。
バランス。
リラックス。
と、
自分にいい聞かせながら、明日こそは、本番。
最高に重要な麹造りの日です。
やれやれ—–










が、やはり、精度が劣る原料で仕込みたくはないのです。