枯らし箱運転開始

$蔵元駄文-枯らし箱

待ちに待ったニューアイテムが登場! 当蔵設計の「枯らし箱」です。
造りの仕事はどれもハードですが、当蔵では、「出麹」という作業がもっとも大変でした。
出麹作業は、
1 出来あがった麹を、箱や蓋から出す。
2 ある程度たまったら、枯らし場という、乾燥した低温の部屋へ持ってゆく
3 「桟」とよばれる通気性の良い木枠に、麹を広げ、乾燥させる。

という段取りです。これが手間がかかります。(蓋麹という最小の入れ物で造った場合は)
3人掛かりでも小一時間で終わらない作業。
しかし、忙しいときなどは、誰も駆けつけられない。
うまく人が集まった時間に「出麹」ができればいいのだけれど、
出麹のタイミングはその日その日でベストなタイミングが違い、
これを逃すと、酒がまずくなってしまう—–。

そこで、もっと効率よく麹を出して乾燥させることが必要だ! ということになり、
あれこれ考えあぐねた結果、枯らしに適した箱を作成しようということになりました。

浸漬で使用していたキャスター付きのでかい槽を用い、空気孔を取り付け、底上げの金網を
セット。そして、今は使ってないブロアーを取り付けて、「枯らし箱」完成!

昨日は試運転でしたが、いちいち担げるサイズのコンテナに小分けしなくても、
押していけば枯らし場に持っていけるので、かなり楽。
ブロアの吸引力は相当強烈で、出麹したての麹を、10分ほどで相当、
ガリガリに乾燥できました。排気口からは、とんでもない湯気と、結露した水分が大量に
滴り落ちます。かなり乾いた軽い麹を造っているつもりでしたが、
実際は、こんなに湿気を持っていたとは!

こうして瞬間的に湿気を奪い取ることができれば、いいことづくめです。
せっかくキレイに造った麹が、湿気があるうちに、
じわじわ成長して、味が多くなってしまうことことも防げるし、
雑菌汚染の可能性も極端に少なくなります。

少人数で完璧なタイミングで出麹できるし、一石二鳥?
あとは、いい麹造りに専念するばかりです。