天寿見学

鳥海山のふもと、矢島町にある、秋田屈指の銘醸蔵、「天寿」さんに見学にいってきました!
杜氏の佐藤俊二さんは、精度の高い酒造りで若手の杜氏の中でも、次代のホープと言える存在。
さらには、営業能力も高く、あらゆるイベント、試飲会、酒販店さん回りなどもこなす
万能選手。しかも、手先が器用で、醸造機器まで自分で造ってしまうほど工学に長けている
とあっては、頭があがりません。

また、社長の大井さまとは、所属している卸会社が一緒で、
私が蔵に戻ってきた頃から、たいへんお世話になっています。

大井社長&佐藤杜氏の2ショットです。

蔵元駄文-大井社長と俊二さん

蔵の中は、すばらしく美しく管理されているうえ、
酒質をあげるためには必要だと思われたことは、躊躇なく行った結果である、
素晴らしい、最先端の醸造機器の宝庫でありました。
秋田の蔵の中では、もっとも熱心に設備投資を行った蔵といえるかもしれません。
うらやましい限りです。

また、佐藤杜氏の無尽蔵のアイディアが、細部に至るまで、
ちりばめられており、同じ造り手として、打ちのめされるほど、衝撃を
受けました。

なにしろ、この「天寿酒造」は、このブログでもなんども書いている
「花岡正庸」という素晴らしい技師が、亡くなったところ。
花岡先生は、天寿で碁を打っている最中、脳出血になって帰らぬ人になりました。

引退なされて故郷の長野に帰ってからも、秋田にはしょっちゅう来て、
なじみの蔵で、もろみの指導をされていましたが、昭和28年(1953年)、
この天寿で、まさに天寿を全うされた、というわけです。

「青陽山人題」とありますが、
句をやられたり書をかかれたりするときは、「青陽」と号しておられたとのこと。
特に書家としては有名であられたようです。


蔵元駄文-青陽直筆

花岡先生の指導された、長期低温発酵による、雑味のほとんどない吟醸製法は、
秋田でも類を見ないほど軽やかな、「天寿」の酒にこそ、脈々と受け継がれているかも
しれないと思いました。