共同醸造酒 Passion 2011 報告 vol.11「もろみ中盤」

蔵元駄文-溶けない

さて、Passion 2011のご報告です!
残念ながら、予定したほど酒が採れないかもしれません。
やはりあまり溶けてないのです—-。
「一白水成」の硬水が、やや硬質米である「美郷錦」をうまく溶かしてくれるかと
思ったのですが、やはり今年特有の、高温障害による米の溶解性の悪さのほうが、
上回っているようです。

米が溶けないと、粕が多く出て、酒は綺麗になりますが、
そのぶん採れる酒の量が少なくなるのです。

具体的には、今回のPassion 2011は、総米770kg仕込みのもろみ。
はじめ1600Lくらいの酒が採れる予定だったので、
発売本数を、3200本として計算していました。

ですが、どうも—–1500Lやっと採れるかどうかという感じですね。こりゃ。
この予測数量は、粕歩合45%換算での計算。
仮に、粕歩合が50%超えたら、さらに精製酒が減ってしまいます。

秋田で最も高価な米を使い、さらにあまり溶かさない事で、端正で美しい味わいを
実現するという、たいへん贅沢な酒なんですが、問題は、数が足らないこと——-。

もはや、予約でパンパンなのに関わらず、最悪、実際の発売本数が、200本以上減産と
なるかもしれません。
うーん。酒母屋としても遺憾です。

小林さんは、本格的に数が足りなくなったら「詫び状書かないとならない」と、
習字の練習をしているくらいです。

さきほど、我らが新政酒造の当主で、私の父の、七代佐藤卯兵衛社長に

「知り合いから頼まれたんだけど、Next5の酒6本とっておいてくれよ」

と頼まれましたが、「ゆきの美人」での惨状を知っている私は、

「無理です。余分な酒など一切出ません。
酒母を造った私でさえ、搾り機のところで立ったまま数秒、味見するのが関の山です。
しかも上槽の日に、出張が重ならなければの話です。製品を手に入れるなんて、とても—」


と答えました。
その直後に、社長は、市内の地酒専門店三軒に2本ずつ、
「えー、新政の社長ですが、NEXT5の今度の酒、2本くらい今から予約できますか—」
と、電話をかけて確認をとっていましたが、どうも七代卯兵衛でも手に入るのか微妙なところです。

まずは、秋田最高峰の技術を持つ「ゆきの美人」小林忠彦氏の神業的技術による、ここからの挽回を
期待しましょう!




ps、きたる7月20日。
秋田県酒造組合が、キャッスルホテルにて、チャリティ・イベントを開催いたします。

会費は3,500円。(立食/お弁当付き)
定員は800名。
時間は18:00~20:30

チャリティ・オークションが開催され、収益は義援金となります。
皆様お誘い合わせの上、おこしください!!

蔵元駄文-組合チャリティ