きりたんぽの会盛況! Emotion2011 製造開始!

昨日は、「新政のひやおろしと鈴木杜氏のつくった亀の尾のきりたんぽを愉しむ会」という
やたら長い名前の会を開かせていただき、130名以上のご来場をいただきました。
まことに、ありがとうございます。

忙しくてなかなか写真が撮れませんで、すみません—。
以下は、会場前、きりたんぽ鍋の味をチェックする、造りよりも真剣な鈴木杜氏の横顔です。

蔵元駄文-亀の尾の会

で、亀の尾のきりたんぽは、さすが重量級の口当たり。
とても食べ応えのあるものでした。さすが、ササニシキやコシヒカリの近い先祖だけありますね~。
日本の米の、さばけよくコシのあるあの食感って、亀の尾から来たものだったのでしょうか?
良い体験をさせてもらいました。

さて、お酒もいろいろと持っていきました。
今回は、一部、当蔵のレアものアーカイブをご披露させていただきましたので、
そちらの説明を—-。

まずは

・亜麻猫 21BY<2009~>(麹:山田錦 掛:吟の精)
・亜麻猫 22BY<2010~>(麹:酒こまち 掛:吟の精)

という飲みくらべ。
麹が違っていますが、当蔵は、22Byから県産米&酒米オンリーになったので、
こういう感じになってます。

ちなみに、めんどうくさいBY表記のおさらいをしておきましょう。
21BY=平成21年、つまり2009年度収穫米の年度。
22BY=2010年度収穫米の年度—を示す言葉です。
ちなみに、今はじまっているのは23By=2011年度収穫米の年度、ですね~。
ややこしいですが、いちいち平成を西暦に換算するのは面倒です。
古ーいヴィンテージなんて、なんとなく体感的に理解するよりほかありません。

さて、このBY(醸造年度)違いの「亜麻猫」の比較については—–、
個人的には、古い方のヴィンテージである21BY版が、あまりに旨すぎました。
というかリリース時点よりもはるかに旨くなってますよね、コレ。
2年前に発売した時は、「これレモン水?」とか言われたくらいの酒でした。
老ねゼロ。まだ数年飲み時は先っぽいです。

思えば、
21By(2009年収穫米)は、史上最高に恵まれた米質の年。
22By(2010年収穫米、昨年の米)は、史上最悪のヴィンテージでした。
日本酒は、麹造ったり、米をいろいろ蒸し分けたり、
酵母もいろいろあるし、そもそも基本は純粋な培養酵母を使用するし、
麹菌にもいろいろあったり、あれやこれやと造りが込み入っていて、
いい意味で米質がどうあれ、かなり、リカバーできる余地があります。
(悪い意味では、あまり米質に拘泥されない。つまり、人為的技術で標準化/平均化しやすい)

ですが、飲みくらべてみるとね—-やはり差はありますよね。
ちなみにこの21Byヴィンテージの「亜麻猫」一升瓶を、
まだ店頭で置いている店を、秋田市内で一軒だけ知っているので、
あとでこっそり買いに行こう—-。



・お蔵入りした全麹特別純米 21BY <2009~>

秘醸酒のひとつとして造りました。ところが、秘醸酒のひとつ、陽乃鳥(貴醸酒)と
味が似すぎていてお蔵入り。なんで似ているんだろうと思ったんですが、全麹ってそうなるみたい。
ちなみに同時に造った「全麹山廃特別純米」は、見事なまでの完全に失敗作と成り果て、
スピーディに格下げして消えてしまいましたが、
こちらの全麹特純のほうは、案外良くなりそうな脈があったので、
杜氏と相談のうえ、瓶貯蔵してほったらかしにしておきました。

で、2年くらい熟成させてみると、案の定、奥深い味わいが。
濃厚でまろやかで旨い。貴醸酒よりも旨味が強いのは、アミノ酸が2.5もあるから。
しかし、こんなアミノ酸爆弾でも劣化の兆候はゼロ—-。
酵母が猛烈に元気だった酒なので老ねないのでしょうか?
これは会場でも好評でした。どうしよう? もっとほっとくか、リリースしちゃうか?
悩みます—–。



・純米大吟醸 梨花 袋吊り 斗瓶取りバージョン 21BY<2009~>

「梨花」はコンテスト向けの出品酒として、鈴木隆杜氏が独力で仕込みを行うとき
付けられる酒の名前。つまり、製造担当者の銘入りのソロ・モデルです。
これは、麹:山田錦/掛:雄町で40%磨きという垂涎の組み合わせ。
当然のごとく、瞬速でなくなっていました—-。




・きょうかい15号使用 酒こまち 純米大吟醸 20BY<2008~> 三年熟成

これは、鈴木杜氏と私が組んで、はじめて好き勝手に造った大吟醸。
2008年の11月頃の仕込みで、仕込み番号9番。
なぜそんなに早く純米大吟醸を仕込んだのか、さっぱり覚えてません—。
3年も経って、立派な古酒ですが、香りは適度。味もこなれてまろやかで、
まったく老いていないです。まだ枯れてすらいないという感じ。
さすが秋田の生んだ、K1501(=AK-1)。酵母香り戦争の火付け役。
しかし、今となっては香りはちょうど時代にあっている程度。
酒の味もバランスが良く、再評価されてもいいんじゃないかなあと思いますね。

そういえば、20BYは、10種類以上の酵母を使いまくりました—-。
きょうかい601、901、1401、1501、1801、秋田酵母No.12、秋田今野商店さんの酵母、ほか
もろもろやりました。その結果、わけがわからなくなり、悩みました。
結果—-
・そんな香り高い酒はいらない
・特にあのリンゴの蜜のような濃い甘い吟醸香は、うちの蔵の酒には、ないほうがいい
・一桁酵母は総じて発酵力があって使いやすい
ということで、「21Byから6号酵母だけでいいね、そもそも発祥蔵だしね」
という結論に達しました。懐かしい話です。

というようなアーカイブも披露させていただきました。
また来年もこのような会を開きたいですね!





そして、お知らせです!!

きたる11/3(木・祝日)、大町ココラボにおいて、
Autumn/Winter Collection 2011 “Emotion”が開催!
13:00~18:00の開演時間でございます。
お誘いあわせの上、どうぞ!


そして12/24発売予定
NEXT5共同醸造酒第三弾「EMOTION 2011」
のフライヤーも完成!

蔵元駄文-チラシ



さらに、なんと共同醸造酒の酒母麹造りが、昨晩からスタート。
きりたんぽの会でテンパっていて、一白水成からメールが来るまで、失念してましたが、
昨日のうちに、麹担当の小林さんが、五城目まで駆けつけて、さっそく酒母麹の製造を開始
しておりました。
この酒母麹は私が使って、11/5に酒母立てと相成ります。

蔵元駄文-酒母麹

乞うご期待!