さる10月17日に行われました、田村一(たむらはじめ)個展「プログレ。」開催記念トークショー「酒と器とプログレと」のご報告です。
第一部
は、田村くんのいかした新作酒器で、当蔵の酒を飲みながら、あれこれと創作についての話題を交換するという時間でございました。司会は、「富士虎」の馬渕信彦さま。各種の日本酒イベントを開催し、また雑誌「LOVE 日本酒」の編集など多方面に活躍されておられまして、私も田村さんとも昔から既知の間柄でございます。
当方からお持ちした酒は、「天蛙2014」、「見えざるピンクのユニコーン2014」(発売未定)、「全国新酒鑑評会金賞受賞酒」「25By頒布会収録 酵母無添加古式生酛 生バージョン」「亜麻猫2014」でした。
私は日本酒を飲むときは、もっぱら細身の磁器を最も好むのですが、特に田村さんの作品はフォルムが斬新で、かつ繊細巧妙な造りなので、当蔵のような冷酒から常温で飲んでいただきたい酒はぴったりなのです。
話もはずみ、素晴らしい2時間となりました。
こちらは第2部。
プログッレッシブミュージックを聴きながら酒を飲むという至福の(?)ひと時です。
イントロは、キングクリムゾンの「フレイム バイ フレイム」(「ディシプリン」収録)から入りました! 司会は、日本酒をはじめ多方面に活躍されておりますジャーナリスト浅井直子さま。最近は「メトロミニッツ」の日本酒特集で素晴らしい記事を仕上げておられました。
会場は、三軒茶屋にあります、素晴らしいサウンドセットをお持ちのサケバー「Umebachee!」。これ以上ないロケーションのもとに開催と相成りました。
さて、2部の対談内容は、プログレッシブミュージック。単なるプログレロックではなく、プログレッシブな音楽全般についてが題材ということで、お互い、影響を受けた先鋭的な曲をかけながら創作についても述べるという討論会になりました。
田村くんの選曲は、
1、イエス「サウンドチェイサー」(「リレイヤー」収録曲)
2、スクエアプッシャー「グラスロード」(「ジャスト ア スーベニア」収録)
3、ゴング「エクスプレッソ」(「ガゾウズ!」収録曲)
4、プライマス「ジェリー ワズ ア レースカードライバー」(「セイリング ザ シーズオブ チーズ」収録)
5、バトルズ「ザ ヤッバ」(「ラ ディ ダ ディ」収録)
6、スエノ ラテーニョ 「スエノラテーニョ」
7、カン「フューチャーデイズ」(「フューチャーデイズ」収録)
私は
1、システム7 「インターステイト」(「パワー オブ セブン」収録)
2、タブラ ビート サイエンス「セイクリッドチャネル」(「ライブ サンフランシスコ」収録)
3、スティーブ ライヒ「ディファレント トレインズ」(「ディファレント トレインズ」収録)
4、マイ ブラッディ バレンタイン「オンリー シャロウ」(「ラブレス」収録)
5、エイフェックス ツイン「ガール/ボーイ ソング」(「リチャード D ジェイムス アルバム」収録)
という感じで、いずれも思い入れのあるサウンドが選出されました。
そもそも我々は共通して、ゴングやソフトマシーンを筆頭とするカンタベリー系というサイケデリック〜プログレッシブロックの流派ならびに、アシュラテンペルやノイ!またはカンを代表とするジャーマンプログレから強く影響を受けていまして、それらバンドとその流れを組む音楽、その周辺の音楽についてメインに話が弾みました。
なお、懇意にさせていただいているお客さまの方が言うことには、田村さんと、我々「新政」の諸作品は、「ともに中性的で繊細な仕上がりであるが、創作態度や思想において実に反抗的なところが似ている」らしいのです。
まさにこの度にかけさせていただきました音楽も、そういうのが揃っておりましたような気がいたします。
相当酔っ払って何を話したのかあやふやですが、実に創作のエネルギーをいただきました。関係各者のみなさまがた、本当にありがとうございました。
さて、最後に。田村一くんが所属している「へうげ十作」という若手陶芸家集団がございます。これは「へうげもの」(モーニングで連載している戦国時代の陶芸をモチーフにした漫画)のバックアップを受けて活躍している若手作家の集まりなのです。いずれも日本の次代の陶芸を担う個性派ぞろいの作家たちでございます。ただいま、この「へうげ十作」と、我々NEXT5でコラボレーションができないかな〜と企画をしている最中でございます。 私としても、酒と陶芸の近接ジャンルにおける現代作家たちが、正面からぶつかりあったら、どんな化学反応が生まれるものやら、想像するだけでも楽しそうだなと思います。
もし実現しましたら、よろしくお願い申しあげます。